グローバルで戦うということ
こうしたアウトラインを持つATTO 3は国内の館林モールディングで金型が作られている。この館林モールディングはBYDに買収され、現在はBYDグループ内の企業であるが、日本の職人技術は活かされているのだ。そしてエクステリアデザインではヴォルフガング・エッガーで、ダ・シルバのチームにいたり、ジウジアーロにいたりで、アウディ、アルファロメオ、ランボルギーニなどで辣腕を振るった人物が担当している。
またインテリアデザインではフランスのフォルシアが関わっている。フォルシアとBYDは合弁会社を中国深圳に設立し、インテリアパーツを作っている。フォルシアはアウディのプレミアムブランド化に大きく貢献したと言われており、インテリアデザインにおいてはトップ企業のひとつだ。さらにインテリアのパッケージデザインでは、マイバッハにいたミケーレ・ヤウク・パガネッティ氏がデザインしている。


そしてコア技術であるバッテリーやインバータ、モーターなどのパワートレイン系はBYDが作り、もはやグローバルで戦う武器をたくさん備えていることが見えてくるというわけだ。
王朝系と海洋系
そのATTO 3はラインアップとして王朝系というシリーズに所属している。これは中国をはじめとする歴史上の王朝を意味し、唐、秦、といった王朝シリーズとしている。このATTO 3という名称はじつはグローバルネームで、中国では「元PLUS」という名称だという。
この王朝系のシリーズはその王朝の特徴がモデルに反映するようにネーミングされているということで、元からイメージされるのはチンギス・ハーンや蒙古襲来で、力強さなのだろうか? 他に海洋系というのがあり、もう一台国内で販売されているドルフィンはまさに海洋系というわけだ。
そのドルフィンはBセグメントサイズのコンパクト・ハッチバックで2023年9月から国内販売がスタートしている。

全長4290mm、全幅1770mm、全高1550mm、ホイールベース2700mmと、国内では扱いやすいサイズになっている。なお、全高に関し、他の市場では1570mmだが、日本の市場に合わせての1550mmであり、BYDの本気度が見えてくる。 本気度といえば、ウインカーも右ウインカーで、国産車と全く同じ。輸入車は右ハンドルでも左ウインカーというのが定着しているものの、BYDや韓国のヒョンデといったアジア勢は右ウインカーにしているのだ。