水面下の転職活動を「行儀が悪い、ぶしつけだ」と言う「背景」と「思い」とは?
今回のnoteエントリーに批判的な反応もあがったのは、転職希望者に求めるリスク負担の大きさに加えて、刺激的な表現にも原因がありそうだ。勤務先に開示せず転職活動をすることを「行儀が悪い、ぶしつけだ」と断じる、その真意は何だろうか。
「当社の人事担当者ともよく話すのですが、採用の場面では『私を雇ってください』というふうに採用応募で売り込んできた人が、退職する時は自分の都合だけで辞めるのか、入る時の話と違うじゃないか、と思うことがあります。退職を考えた時、まずは勤務先に相談することが最初で、それが礼儀ではないでしょうか。そのうえでしっかり引継ぎをして正々堂々と退職すれば、狭い業界でまた顔を合わせた時にも普通に話すことができるはず。それが立つ鳥跡を濁して、隠れるようにこそこそ離れていく人がこの業界は少なくないのです」
会社は変わっても業界の仲間として挨拶できるような関係でいるための、いわば「仁義」として松山氏は採用ポリシーへの賛同を求めている。もちろん誰が賛成するのも批判するのも自由であり、労働者や経営者個々が自分の価値観に基づいて判断し、行動すればよいことだろう。サイバーコネクトツーは、現に採用の実を上げている。
最後に、そうはいっても比較上弱い立場にある応募者に高いハードルを課していることについて、そのカウンタパートである松山氏自身の「あり方」を尋ねてみた。経営者としての矜持と行動は、主張の正当性を担保する1つの材料になると考えたからだ。
「当社と他社が決定的に違うのは、代表である私が現役のクリエイターであることです。現場スタッフと苦労や問題意識を共有することで、経営者と社員という関係と、仲間というスタンスを両立できると考えています。そしてもう1つ、私が私腹を肥やしたいタイプの経営者でないこともあるでしょう。会社があげた利益はスタッフの待遇とスキルアップに還元して、会社と社員がともに成長することしか考えていません」
「私は会社の利益を別荘やプライベートジェット、高級時計に変えていくタイプの経営者ではありません」と松山氏は笑いを交えて言う。社員が会社のことを自分事と考えられる環境を作り、維持していくために求める「基本合意」が、同社にとっては採用ポリシーということになるのだろう。
(文=日野秀規/フリーライター)
提供元・Business Journal
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