移動手段で変わる移動時間の考え方

出張中の移動時間の考え方は、移動手段で変わります。公共交通機関を利用するのか、社用車で移動するのかのケースを検討してみましょう。

公共交通機関を利用する場合、基本的に労働時間にならない

公共交通機関を利用する場合、基本的に移動時間は労働時間になりません。バスや電車などは自分で運転する必要がなく、ただ乗っているだけでいいからです。移動中の時間を自由に使えるため、労働時間とみなされません。

ただし、すでに紹介しているように移動中に業務命令があった場合は別です。

社用車で移動する場合は「単なる移動かどうか」が重要

社用車で移動する場合、「単なる移動かどうか」が重要です。ここでいう「単なる移動」とは、出張先に移動するためだけの移動のことです。自分で運転するとしても、移動中は業務をせず自由に過ごせると考えられています。

ただし、運転そのものが業務になるような場合は別です。たとえば取引先に商品を届けたり、ほかの従業員を乗せて運転手として運転する場合などは、労働時間として認められることが多いです。

出張に関するよくある質問

出張中の移動時間が労働時間に含まれるのかは、業務命令があったのかどうかが判断のポイントになると紹介しました。最後に、出張に関するよくある質問に答えます。

出張中に休日がある場合は?

出張中に休日がある場合、休日に移動する場合も、業務命令がなければ労働日としてカウントされません。たとえば出張先での予定が月曜日の朝に入っていて、休日である日曜日に出発・移動した場合も、移動時間は労働時間になりません。

長距離や海外の場合も労働時間にならない?

長距離の移動や出張先が海外など、移動時間が長い場合も業務命令がなければ労働時間には含まれません。そのため、残業代もつきません。

ただし、このようなケースでは相応の日当が付くことも多いです。

出張中の事故は労災になる?

出張中の事故は基本的に労災になります。業務命令のない移動中の事故であっても、業務を遂行するために仕事をしているとみなされるためです。

ただし、出張先で個人的に遊びに出かけているときや泥酔して転倒したなどの場合は私的行為により事故を招いたとみなされ、労災と認められません。

出張時の宿泊先でもらった商品券はどうすればいい?

出張時の宿泊先でクオカードや商品券などをもらえることがあります。これは実質的な宿泊代の値引きともいえ、受領した場合、実際の宿泊代よりも高い金額を会社に請求することになります。

このケースの判断は難しいです。出張旅費規程で商品券や金券の取扱について定められている場合は、規定に則り処理しなければなりません。しかし、実際は黙認されるケースが多く、これらの受領が問題になることはあまりありません。

ただ、わずかな金額の商品券や金券のために懲戒処分を受けることになっては悔やんでも悔やみきれないでしょう。会社に相談することをおすすめします。