他分野でも展開できるようシステムを販売することも視野に

――実際には今どのくらいの人が利用していて、将来はどのようにしたいと考えていますか。

柴田:はっきりした数字は申せませんが、現在のユーザー数は4,000人程度です。サービスを開始して1か月程度でこの数字は当初の予想を遥かに上回っており大変驚いています。2024年中に1万人超えることを目標としていましたが、今は目標を2~3万人に上方修正しました。

またKabukura.aiは株式投資を愛好する人たちのためのマイクロクローズドなコミュニティですが、このようなコミュニティを分野違いでたくさん作っていきたいと考えています。と言ってもSNSを量産するのではなく、Kabukura.aiのようなプラットフォームの仕組みを、マイクロクローズドなコミュニティを作りたい方に販売することを考えています。

現時点ではクローズドなコミュニティはサロンのような形で運営されていますが、それだとプラットフォーム会社に対してユーザーの課金額の何割かを使用料金として払わなくてはいけません。しかしKabukura.aiならかなり優良なシステムを安価に売り切りで提供することができます。その理由は開発体制にあります。じつはKabukura.aiではウクライナの技術者たちが一丸となって開発しており、費用としても日本でシステムを作るより安価で作ることができます。

――ウクライナで開発されたとなると大変なことも多かったのでは?

柴田:私自身がもともとウクライナに住んでいてウクライナ人のIT人材を日本に発信してきたこともあり、ITエンジニアの知り合いが数多くいます。またウクライナ自体が東欧のシリコンバレーと言われるほどにIT人材を多く抱えている国なので、協力してくれる人たちを探すこと自体に苦労はありませんでした。

しかしご存じのとおり今のウクライナは平時ではありません。開発中も空襲があったりと、常に心身に過大なストレスがかかる状況のなかで開発を続けました。とても大変でしたが、ウクライナを支援したいと考えてくれる多くの方からの助力で何とかKabukura.aiをローンチさせることができました。

開発に協力したウクライナのエンジニア

――最後に、一言お願い致します。

柴田:Kabukura.aiは多くの方の協力を得て開発されました。先述したウクライナのエンジニア以外にも、私の考えに賛同していただきKabukura.aiを活性化させるべく有用な情報を惜しげなく投稿してくれる株クラのインフルエンサーの方々が何人もおります。お陰様で当初より目指していた質の高い情報をユーザーの皆様がアクセスできるようになっており、またKabukura.aiのユーザー同士のやり取りも敬意に満ちて非常によい雰囲気となっています。今後はよりユーザー同士のコミュニケーションが活発になるような施策を導入していきますので、ぜひ参加してみてください。

<インタビュイープロフィール>
Hiroshi Shibata/柴田 裕史
Ago-ra IT Consulting及びEE Technologies代表、ITウクライナ協会日本市場担当、日宇複数企業の顧問、代表を兼務。米国、豪州の大学を卒業後、欧米の外資系金融3社のテクノロジー部でアルゴリズム取引開発に10年以上従事。’02年の学生時代に創業。’16年に欧州へ拠点 を移す。世界8か国に在住経験あり。現在キーウにて日本企業向けオフショア開発コンサル業および現地IT企業の日本向けマーケティングを支援。

取材/文・はっさく(@hassakumacro)