■社会から完全に孤立、精神崩壊のはじまり
1968年の冬、ファミリーはカリフォルニア州シエラネバダ山脈東部にある、デスヴァレーと呼ばれる山と砂漠しかない場所に移り、世間から完全に孤立した。テリーに拒絶されたチャールズの妄想はどんどん膨らんでいった。ビートルズの楽曲「ヘルター・スケルター」を、ハルマゲドンのことを歌う、予言ソングだと言うようになった。
1969年1月、ファミリーはカリフォルニアに戻ったのだが、被害妄想と怒りで精神的にギリギリの状態だったチャールズは「ブラックパンサーのメンバーの黒人の麻薬売人を殺してしまった」という幻覚を見て、ブラックパンサーにファミリーは殺されるという妄想にとりつかれるようになった。
この頃、人種差別されるため貧困から抜けだせない黒人たちが、全米各地で暴動を起こしていた。彼らは「戦争だ!」と声を上げており、チャールズは「戦争なんだ!」と精神的にますます追い詰められていった。5月になると「ブラックパンサーを象徴するものだから」とカラスを射撃したりするようになった。

(画像=デスヴァレー。画像は「Murderpedia」より引用,『TOCANA』より 引用)