損保ジャパンの抜け駆け

 報告書には昨年に三井住友海上が内部告発に伴いビッグモーターへの入庫紹介を停止するまでに至る経緯も記述。前述の大手損保3社が協調して連名でビッグモーターに改善を申入れ後、金融庁に報告を行う方向で進んでいくなかで、損保ジャパンが抜け駆け的にビッグモーターとの取引を再開させた様子が書かれている。

<H3社は、概ね当社同様にBMに対して厳格な対応をとるべきという方向性で協議を進めていたものの、H1社(編注:損保ジャパン)からは、2022 年 4 月 14 日の 3 社協議にて、当社が作成した申入れ文書(案)のトーンがかなり厳しいとの指摘が営業部門からなされている旨の報告とともに、他社が SKS 紹介を停止するのであれば、その分 H1 社と BM の取引を拡大すべきとの意見が営業部門から出される可能性がある旨の発言等がなされた。また、同月26日の3社協議にて、H3社及び当社は、BM への 3 社連名での改善申入れ後、速やかに金融庁に報告を行うとともに、BMの全ての修理工場に対してSKS紹介を停止すべきとの意見であったのに対して、H1社からは、BM の自主検証結果が出た後に、金融庁に報告を行い、SKS 紹介停止の要否についても自主検証結果を踏まえて判断したい旨の意向が示された>

<当初は、H1社、H3社及び当社のいずれにおいても、BMの調査結果は不十分である旨を指摘し、調査委員会設置を再提案する方向で、各社にて社内調整を行うという流れで進んでいた【14】。しかし、その後、唐突に【15】、H1社の動きが止まる事態となり、それに呼応するように、2022年7月14日、b1氏から、BM 全店舗に対し、H3 社及び当社に対する自賠責保険の割当てを停止するよう指示が出された>

<H1社は、同月14 日から15日にかけて、H3 社及び当社に対し、b4 氏から直接、再発防止への熱い思いを聞き、BM との健全なパートナーシップ回復に重きを置くこととしたので、これ以上の調査拡大は行わず、BM の再発防止策策定の支援を行うこととし、本件内部告発以後行われていた 3 社協議から離脱する旨を通知した。かかる H1 社の翻意を受け、当社は、再度、H1 社に対し、H1 社、H3 社及び当社の 3 社での協調を呼びかけたものの、H1 社がこれに応じることはなかった>