つみたてNISAで投資信託を買うなら手数料について知っておきたい。投資信託の手数料にはいくつか種類はあるが、つみたてNISAにおいて確認すべきポイントは少ない。どのような手数料があるのかを知り、つみたてNISAの商品選びに活かそう。

目次
1.つみたてNISAにはどんな手数料がかかる?
2.つみたてNISAの手数料は信託報酬だけではない
3.つみたてNISAの手数料比較はネット証券がおすすめ
4.つみたてNISAの手数料が安い投資信託ランキング
5.つみたてNISAの商品選びは手数料以外も考慮する

1.つみたてNISA(積立NISA)ではどんな手数料がかかるのか

つみたてNISAの利用に当たり、知っておくべき手数料を確認しよう。

つみたてNISA(積立NISA)の口座管理手数料は無料

つみたてNISAを利用するにはつみたてNISA口座を開設しなければならないが、どこの金融機関でも口座開設・管理ともに手数料は無料だ。個人型確定拠出年金であるiDeCo(イデコ)のように金融機関によって口座管理手数料が異なっているのと比べると、つみたてNISAのほうが金融機関は選びやすい。

つみたてNISAに口座管理手数料はかからないが、対象商品の投資信託には手数料がかかる。つみたてNISAで購入できる投資信託の手数料範囲は、金融庁によってあらかじめ決められているため、初心者でも手数料が高すぎる商品を買ってしまうことはないだろう。

つみたてNISA(積立NISA)で買える投資信託の手数料基準

つみたてNISAの投資信託の手数料は金融庁が基準を設けており、基準をクリアした商品しか選定できない。つみたてNISAで購入できる投資信託の手数料基準については以下の通りだ。なお、つみたてNISAの対象商品にはETF(上場投資信託)もあるが、購入できる金融機関が少ないためここでは省略している。

投資信託の買付または換金
販売手数料 無料
解約手数料 無料
信託財産留保額 投資信託により異なる
投資信託の保有中
信託報酬
(年率・税抜)
インデックスファンド 国内に投資 0.5%以下
海外に投資 0.75%以下
アクティブファンド 国内に投資 1%以下
海外に投資 1.5%以下
(※金融庁『つみたてNISAについて』平成29年7月より筆者作成)

つみたてNISAの投資信託は購入時と解約時に手数料がかからない。解約手数料に似た信託財産留保額がかかる投資信託もあるが、それほど数は多くない。主な手数料である信託報酬を確認する時に一緒に確認しよう。

つみたてNISA(積立NISA)の手数料は投資信託の信託報酬を比較する

つみたてNISAでチェックすべき主な手数料は投資信託の信託報酬だ。

信託報酬とは投資信託の管理・運用にかかる必要経費であり、運用資産の中から少しずつ差し引かれる。一般的に市場の平均値に投資するインデックスファンドは安く、積極的に投資するアクティブファンドは相対的に高くなる。信託報酬の水準で投資信託の運用結果が決まるものではないが、運用方針がほとんど同じ投資信託の場合は信託報酬の安いほうが有利に働く。

信託報酬の比較は、運用成績に違いの出にくいインデックスファンドで特に重視され、商品性がバラバラなアクティブファンドは信託報酬以上に運用方針や実績を分析することも大事だ。

つみたてNISAの対象投資信託は全部で184本だが、アクティブファンドはその内19本しかない(2020年11月9日時点)。そのためつみたてNISAではインデックスファンドが主な選択肢であり、信託報酬の比較は重要性が高い。

2.つみたてNISA(積立NISA)で運用する投資信託にかかる手数料は信託報酬だけではない

つみたてNISAの手数料は信託報酬を比較すべきだが、実はそれ以外にも手数料は発生している。

投資信託の経費率とは

投資信託の手数料は目論見書の「ファンドの費用」に記載されている。信託報酬の場合は運用管理費用とも書かれていることもある。投資信託の目論見書その他に「監査費用」や「その他費用・手数料」といった記載もある。これらには有価証券の売買手数料や保管費用などが含まれており、運用期間中に変動するものでもあるため料率をあらかじめ決めておくことが難しい。

このように信託報酬以外も合算し、資産の時価総額である純資産総額に占める経費の割合を出したものを「経費率」と呼ぶ。いわば実質的に負担する手数料だ。経費率を確認すれば投資信託の本当の手数料がわかるため、一度確認してみよう。

つみたてNISA(積立NISA)で運用する投資信託は経費率を確認

投資信託の実際の手数料である経費率は、運用報告書で確認できる。

運用報告書は1年に1回や半年に1回など、その投資信託の決算ごとに作成される。経費率は運用報告書の「1万口当たりの費用明細」をみてみよう。費用の内訳として信託報酬、売買委託手数料、有価証券取引税、その他費用といった項目があるはずだ。その比率の合計が経費率である。

運用報告書の確認が手間であれば、投資信託の情報や評価を掲載しているモーニングスターのサイトからも簡単に確認できる。経費率は個別の投資信託のページに掲載されており、各手数料の明細も載っていて便利だ。

投資家の手数料負担を考えれば投資信託の経費率の確認は重要だが、信託報酬のように料率が決まっているわけではない。そのため経費率を参考にしつつ、手数料は信託報酬を比較するといいだろう。

3.つみたてNISA(積立NISA)の手数料比較はネット証券がおすすめ

つみたてNISAで購入できる投資信託を手数料で比較するならネット証券がおすすめだ。

ネット証券のつみたてNISAは商品数が多い

つみたてNISAの手数料比較が特に重視されるのはインデックスファンドだ。どこの金融機関でもインデックスファンドは用意されているが、十分に比較するには数が多いほうがいい。同様の運用方針を掲げるインデックスファンドは、手数料以外の差別化ポイントが乏しいからだ。つみたてNISAで多くの投資信託を比較するなら、商品数が充実しているネット証券を利用しよう。

金融機関 つみたてNISAの取扱商品数
ネット証券 SBI証券 172本
楽天証券 170本
マネックス証券 151本
大手証券会社 野村證券 7本
大和証券 22本
メガバンク 三菱UFJ銀行 12本
三井住友銀行 3本
みずほ銀行 5本
(※各社ホームページより筆者作成、2020年12月時点)

ネット証券はつみたてNISA(積立NISA)の手数料を簡単に比較できる

ネット証券は投資信託の検索機能を無料で提供しており、つみたてNISAの手数料を比較しやすい。主要ネット証券はSBI証券、楽天証券、松井証券、マネックス証券、auカブコム証券の5社だが、松井証券を除き、投資信託の信託報酬で並び替えられる仕様になっている。

アクティブファンドは手数料以外に詳細な分析も必要だが、運用方針が同じインデックスファンドはカテゴリーを絞るなどして信託報酬で並び替えれば簡単に比較できる。もちろん投資対象や純資産総額、決算頻度などをチェックするのも大切であるため、インデックスファンドと言えど最低限の中身は調べてから投資したい。

4.つみたてNISA(積立NISA)の手数料が安い投資信託ランキング

つみたてNISAで手数料の安い投資信託をランキングで紹介しよう。

順位 商品名 信託報酬(税込)
1位 野村スリーゼロ先進国株式投信 0%(2030年末まで)
2位 SBI・バンガード・S&P500インデックス・ファンド 0.0938%程度
3位 eMAXIS Slim米国株式(S&P500) 0.0968%以内
4位 SBI・先進国株式インデックス・ファンド 0.1022%程度
5位 <購入・換金手数料なし>
ニッセイ外国株式インデックスファンド
0.1023%以内
5位 eMAXIS Slim先進国株式インデックス 0.1023%以内
7位 たわらノーロード 先進国株式 0.10989%以内
8位 SBI・全世界株式インデックス・ファンド 0.1102%程度
9位 eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー) 0.1144%以内
9位 eMAXIS Slim全世界株式(除く日本) 0.1144%以内
9位 eMAXIS Slim全世界株式(3地域均等型) 0.1144%以内
9位 <購入・換金手数料なし>
ニッセイ世界株式ファンド(GDP型バスケット)
0.1144%以内

(※筆者作成、2020年12月時点)
 

1位の「野村スリーゼロ先進国株式投信」は野村證券専用商品で、2030年末まで信託報酬が無料の新しいタイプの投資信託だ。2031年以降も信託報酬は0.11%(税込)に抑えられ、低コスト運用を継続する。

ランキングの投資信託はいずれも信託報酬が0.1%前後であり、ほとんど手数料をかけずに投資できるのが強みだ。ただしランキングの投資信託はいずれも株式のみに投資する単一型の投資信託のため、バランスファンドやアクティブファンドに投資する際は中身の検証もより重要になる。

5.つみたてNISA(積立NISA)の商品選びは手数料以外も考慮する

つみたてNISAの商品比較で手数料は重要な要素ではあるが、どんな投資をしたいのかを考えて選ぶことも大切だ。例えば価格変動を抑えたい場合は債券が投資先に組み込まれたバランスファンドも選択肢になるし、優良企業に絞って投資したい場合はアクティブファンドにも目を向ける必要がある。つみたてNISAは長期で利用する制度だからこそ、商品選びは様々な角度から検討しよう。

 

國村功志
執筆・國村功志
大手証券会社で株式・債券・投資信託などの金融商品販売に携わる。その後、ファイナンシャルプランナーの養成団体やFP事務所を経て、現在は資産形成FPとして活動。個人の資産運用経験も活かし、金融機関や一般の人向けに毎月セミナーも開催。CFP®、証券外務員一種保有。
大手証券会社で株式・債券・投資信託などの金融商品販売に携わる。その後、ファイナンシャルプランナーの養成団体やFP事務所を経て、現在は資産形成FPとして活動。個人の資産運用経験も活かし、金融機関や一般の人向けに毎月セミナーも行っている。CFP®、証券外務員一種保有。

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