クレジットカードを比較する際に注目されるのが還元率だ。この還元率とは何か、付与率とどう違うのかという点が、クレカ選びの重要なポイントになってくる。ここでは「還元率が高い」とはどういうことなのかを含め、還元率に関する知っておきたい知識を紹介しよう。

目次
1,クレジットカードの還元率とは?
2,クレジットカードのポイントの主な交換対象は?
3,還元率の目安は?
4,還元額をアップする代表的な5つの方法
5,ポイントの最終的な使い道まで考えてカードを選ぼう

1,クレジットカードの還元率とは?付与率との違い

最初に、クレジットカードのポイント還元率とは何かということについて説明しよう。

クレジットカード選びの目安となるサービス

通常、クレジットカードにはクレジット(ショッピング)利用金額に応じてポイントを付与するポイントサービスが付いている。ポイントは各種賞品の他、カード利用代金の支払いに充当できたり、他社ポイント・マイルや商品券・クーポンに交換できたりする。

交換対象のうち、カード利用代金の支払いへの充当、他社ポイントや商品券・クーポンなどについては価値がはっきりしているので、クレジット利用金額に対して付与されるポイントの価値をそこから導きだせる。これがポイント還元率だ。

端的にいえば、ポイント還元率とは「カードを何円利用すると、何円分のポイントが付与されるか」を%表示したものと考えればいいだろう。

クレジットカードのポイント付与率と還元率の違い

クレジットカードのポイントについて、付与率と還元率の違いを説明しておこう。

ポイント付与率とは「何円使うと何ポイント付与されるか」を%表示したものだ。しかし、カードによってポイントの価値は異なるので、この付与率だけではどれくらい還元されるのか分からない。

そこで、付与率に加えて、1ポイントあたりの価値を計算に入れて実際の還元率を割り出すことになる。これがポイント還元率だ。

還元率の計算方法は?

ポイント還元率はクレジット利用金額に対して付与するポイント数と、そのポイントが何円相当の価値を持つかによって決まる。次に還元率の計算方法として、いくつかのパターンを紹介しよう。

クレジットカードの付与単位 100円ごとに1ポイント付与
ポイント付与率 1%
(1ポイント÷100円)
ポイントの価値 1ポイント=1円相当
ポイント還元率 1%
(1%×1円)
クレジットカードの付与単位 200円ごとに1ポイント付与
ポイント付与率 0.5%
(1ポイント÷200円)
ポイントの価値 1ポイント=1円相当
ポイント還元率 0.5%
(0.5%×1円)
クレジットカードの付与単位 1,000円ごとに1ポイント付与
ポイント付与率 0.1%
(1ポイント÷1,000円)
ポイントの価値 1ポイント=5円相当
ポイント還元率 0.5%
(0.1%×5円)
(※筆者作成)

 

このように付与率が低かったとしても、ポイントの価値が高い場合は還元率も上がることになる。

2,クレジットカードのポイントの主な交換対象は?共通ポイント・電子マネーに注目

クレジットカードの公式サイトには「何円使うと何ポイント付与されるか」ということは明記されていても、還元率を明記しているものは少ない。それは、ポイントの利用・交換対象によって1ポイントあたりの価値が違ってくることが多いからだ。

一方、クレジットカードを紹介する記事などに記載されているポイント還元率は、利用・交換対象のうち、価値がはっきりしていて還元率が最も高くなるものを基準にして算出していることが多い。

しかし、還元率が最も高くなる利用・交換対象が自分の必要としないものであれば、どんなに高くても意味がない。基本的には、自分が必要とする利用・交換対象において最も還元率が高くなるクレジットカードを選ぶのが賢いカード選びだ。参考までに、利用・交換対象別の傾向を説明しよう。

利用・交換対象1,航空マイル――おおよそ1マイル2円換算

ポイントをJALやANAのマイルに交換できるカードは多い。マイルの価値は明確にはいえないが、おおよそ1マイル=2円相当と考えられている。これを前提とした場合、航空マイルに交換した場合のポイント還元率は、そのカードの他の交換対象と同じくらいか、あるいはそれより高くなることが多い。

利用・交換対象2,共通ポイント・電子マネー――使い勝手に困らない

楽天ポイント、Pontaポイント、Tポイント、dポイントといった共通ポイントや、楽天Edy、電子マネーWAON、nanaco、Suicaなどの電子マネーは価値もはっきりしており、大体が1ポイント1円だ。使い勝手の面でも困ることがあまりないので交換先としては最適だろう。

利用・交換対象3,商品券・クーポン――発送手数料がかかる場合もある

デパートや旅行商品、書籍などの購入に使える商品券や、Amazonギフト券、App Store & iTunesギフトカードなどネットで使える電子クーポンへの交換もまた、還元率が比較的高い交換先となっていることが多い。ただし、商品券の場合、発送手数料として別途所定のポイントが必要なケースがある。

利用・交換対象4,各種賞品――還元率が計測しづらい

多くのカードで、日用品やぜいたく品、カタログギフト、旅行商品などがポイントの交換対象となっている。これらの賞品については価値がはっきりしないことがあり、交換した場合の還元率は測りにくい。

利用・交換対象5,カード利用代金の支払いへの充当――カードによっては還元率が高くなる

ポイントをカード利用代金の支払いへ充当する場合の還元率は、共通ポイント・電子マネーへ交換する場合よりも低くなることが多い。ただ、一部のカードでは共通ポイント・電子マネーへの交換と同じ還元率か、それ以上ということもある。

以上、使い勝手と還元率の高さを考えるなら、一般的には共通ポイント・電子マネーへ交換する場合の還元率を基準としてカードを選ぶといいだろう。ただし、空の旅が多く普段からマイルをためているなら、航空マイルにおける還元率で選んでもよい。

3,還元率の目安は?1%なら高還元率

ここまでクレジットカードの還元率とは何か?ということについて説明してきたが、実際にポイント還元率はどれくらいなら高いといえるのか?その目安を紹介しよう。

還元率の目安は一般的0.5%、高還元率1%、超高還元率1.2%

一般的なクレジットカードは0.5%前後の還元率となっている一方、「高還元率カード」としてポイント還元率の高さをアピールしているカードでは1%前後の還元率のことが多い。また、それより高い還元率なら「超高還元率カード」と呼ばれることがある。

還元率はわずかな%の違いであっても、年間を通した還元額は大きな違いとなってくる。参考までに、年間クレジット利用金額ごとの還元額を還元率別にまとめてみよう。

年間利用金額 還元率0.5% 還元率1% 還元率1.2%
60万円(月5万円) 3,000円相当 6,000円相当 7,200円相当
120万円(月10万円) 6,000円相当 1万2,000円相当 1万4,400円相当
240万円(月20万円) 1万2,000円相当 2万4,000円相当 2万8,800円相当
360万円(月30万円) 1万8,000円相当 3万6,000円相当 4万3,200円相当
(※筆者作成)

年会費も重要な要素となる

ポイント還元率の面だけを考えるなら年会費も重要になってくる。例えば、同じ1%還元のカードでも年会費無料のものと、年会費2,000円のものでは、その年会費分だけ前者がお得ということだ。

クレジットカードはポイント還元率だけで選ぶものではないが、還元率以外のスペックが似通っている場合、年会費と還元率のバランスから、どのカードがよりお得か判断できる。

一般的な還元率の代表的クレジットカード10選

一般的な還元率のクレジットカードのうち代表的なものを紹介しよう。なお、還元率はポイントアップやボーナスポイントなどが適用されていない通常のポイント付与率と、代表的なポイント交換対象のうち還元率が最も高くなるものに基づいて算出した。

カード分類 カード名 通常還元率 たまるポイント
銀行系 三井住友カード 0.5% Vポイント
国際ブランド系 JCBカード Oki Dokiポイント
アメリカン・
エキスプレス・カード
0.33% メンバーシップ・リワード
信販系 VIASOカード 0.5% VIASOポイント
ライフカード LIFEサンクスプレゼント
セディナカード わくわくポイント
流通系 セゾンカード
インターナショナル
永久不滅ポイント
ファミマTカード Tポイント
エポスカード エポスポイント
イオンカード ときめきポイント
(※各社ホームページを参照し筆者作成)

 

これを見て分かるように、ポイント還元率の高さを特別にうたっていないカードでは、多くの場合、0.5%のポイント還元率となっている。

なお、上で紹介した中で「アメリカン・エキスプレス・カード」は、ポイント還元率が他よりも低く、年会費も高額(税込1万3,200円)なため、ポイント還元率の面ではいいところがない。ただし、還元率が低いにもかかわらず、ステータス性の高さから人気のカードとなっている。

高還元率の代表的クレジットカード10選

次に高還元率のカードを紹介しよう。

カード分類 カード名 通常還元率 たまるポイント
銀行系 三井住友カード
プラチナプリファード
1% Vポイント
ラグジュアリーカード
チタン
国際ブランド系 JCBカード W Oki Dokiポイント
信販系 Orico Card THE POINT オリコポイント
Reader's Card Reader's Card ポイント
流通系 楽天カード 楽天ポイント
ヤフーカード Tポイント
P-oneカード<Standard> カード利用代金に充当
Amazon Mastercard
クラシック
Amazonポイント
通信系 dカード dポイント
(※各社ホームページを参照し筆者作成)

 

以前に比べて高還元率のカードは増えてきたが、一方でポイント還元率が改悪されたものもある。例えば、ジャックス発行の「Reader's Card(リーダーズカード)」は以前、1.25%還元だったが、現在では1%還元となっている。

超高還元率の代表的クレジットカード6選

カード分類 カード名 通常還元率 たまるポイント
銀行系 ラグジュアリーカード
ブラック
1.25%
ラグジュアリーカード
ゴールド
1.5%
ミライノ カード PLATINUM 1.2% ミライノ ポイント
信販系 ジャックスカードプラチナ 1.5% ラブリィポイント
DCカード Jizile(ジザイル) 1.2% DCハッピープレゼント
流通系 リクルートカード リクルートポイント
(※各社ホームページを参照し筆者作成)

 

この中で年会費無料なのは「DCカード Jizile(ジザイル)」と「リクルートカード」のみ。なお、前者はリボ払い専用カードとなっている。

その他は年会費が高い代わりに高いポイント還元率が設定される形となっているので、ポイント還元率を主体にカードを選ぶ場合は、年会費とのバランスもよく考えた方がいいだろう。

4,還元額をアップする代表的な5つの方法

同じカードでも工夫次第でより多くの還元額を得ることが可能だ。次のその方法を紹介しよう。

方法1,日々の支払いをカードに集中させる

高額なショッピングやネットショッピングはもちろんのこと、日常のスーパーマーケットやコンビニエンスストアでの買い物、家賃、光熱費など、可能な限り全ての支払いをカードに集約することでトータルの還元額がアップする。

方法2,ポイント優待店を利用する

ショップを選ぶ余地がある場合、倍付などのポイント優遇があるポイント優待店を意識的に利用すると、より多くのポイントを獲得できる。

方法3,ポイント2重・3重取りを意識する

共通ポイントの提携店舗では、クレジット払いによりクレジット利用ポイントと共通ポイントの両方がたまることがある。これをポイントの2重取りという。さらに、電子マネーへのチャージでポイントがたまるカードの場合、クレジット利用ポイントの他、電子マネー利用ポイントと共通ポイントが3重にたまる場合もある。

こうした2重取り、3重取りを意識することで、トータルの還元額を大きくアップさせることが可能だ。

方法4,ポイントサイトを活用する

カード会社の多くは、通常のクレジット利用ポイントの他に、ネットショップごとに設定したポイントが追加で付与されるポイントサイトのサービスを提供している。ポイントサイトには主要なネットショップが登録されているので、いつも利用しているネットショップをポイントサイト経由にするだけでポイントアップを図ることができる。

方法5,カードごとの特典を活用する

カードによっては、利用状況に応じてポイントアップやボーナスポイントが適用される特典がある。いくつか紹介しよう。

カード名 特典名 特典内容
JCBカード JCB
スターメンバーズ
年間カード利用金額に応じて
翌年に最大50%のポイントアップが適用
三井住友カード ボーナスポイント
サービス
月間カード利用金額に応じて
ボーナスポイントをプレゼント
MUFGカード
ゴールド
グローバルPLUS 年間カード利用金額に応じて
翌年に最大50%のポイントアップが適用
三井住友カード
プラチナ
プリファード
継続特典 前年の利用金額に応じて
最大4万円相当ポイントをプレゼント
エポス
ゴールドカード
年間ボーナス
ポイント
年間カード利用金額に応じて
最大1万円相当のボーナスポイントをプレゼント
セディナカード
ゴールド
トクトク!
ステージ
年間カード利用金額に応じて
翌年に最大1.3倍のポイントアップが適用
(※各社ホームページを参照し筆者作成)

 

こうした還元額アップの方法を知っておくと、より多くの還元額が得られるカードを選ぶ参考となるはずだ。

5,クレジットカード選びはポイントの最終的な使い道まで考える

ここで見てきたように、自分がどこでポイントをため、ためたポイントを最終的に何に使うのかという点まで踏まえた上で、その使い方で最も還元率が高くなるカードを検討することがポイント還元率を重視したカード選びの要点となる。

どんなに還元率が高い交換対象があったとしても、その交換対象の使い道があまりないようなら意味がないと考えてほしい。ポイントはただ多くためればいいというものではなく、使うときになって初めて価値を持つのだから、最終的な使い方まで考えて自分にとってベストなカードを選びたい。

 

モリソウイチロウ
執筆・モリソウイチロウ
「ZUU online」をはじめ、さまざまな金融・経済専門サイトに寄稿。特にクレジットカードに詳しく、専門サイトでの執筆も行っている。雑誌、書籍、テレビ、ラジオ、企業広報サイトなどに編集・ライターとして関わってきた経験を持つ。
「ZUU online」をはじめ、さまざまな金融・経済専門サイトに寄稿。特にクレジットカードに詳しく、専門サイトでの執筆も行っている。雑誌、書籍、テレビ、ラジオ、企業広報サイトなどに編集・ライターとして関わってきた経験を持つ。

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