医療過誤の元凶

 どうして大統領の周りにまともな医師が居なかったのか、一見して不思議なことですが、実は元凶がいました。

 有名なリンカーン大統領の息子ロバート・トッド・リンカーンとお友達のドクター・ウィラード・ブリス医師です。

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ウィラード・ブリス(画像は「Wikipedia」より)(画像=『TOCANA』より引用)

 ブリス医師は自分が気に入った人間だけで大統領専属医師団を作って横から入ろうとする人達をリンカーン(息子)にシャットアウトさせました。

 ブリス医師とリンカーン(息子)は大統領夫人が二人の医師を呼んでも大統領に触らせませんでした。

 夫人が呼んだのはアメリカで7人目の女医で大統領夫人の主治医だったスーザン・アン・エドソン医師と大統領の従兄弟で幼なじみのサイラス・アルバート・ボイントン医師です。

 そして、5年前から大統領の主治医を務めていたジェデダイア・ハイド・バクスター医師も翌日の始発列車に乗って駆け付けたのですが、リンカーン(息子)に追い返され、主治医なのに一切治療に関われませんでした。

 ブリス医師が一番の親族である大統領夫人の意向を無視して本物の主治医まで追い返せたのはリンカーン大統領の息子という権力者の後ろ盾があったからです。

 ブリス医師は「俺の考えた最強医療」で大統領を助けて有名になって大金ゲットする悪巧みをしていたのです。

 なにしろ、この人は事件当時にはホメオパシーに傾倒しすぎて学会を追放されていたトンデモさんです。

 リンカーン(息子)は駄目なトンデモ医師を信奉して大統領を苦しませながら死なせました。

 ちなみに、リンカーン(息子)が呼んできたトンデモスタッフは医師以外にも電話機の発明者として有名なアレクサンダー・グラハム・ベルもいました。

 金属探知機で体内の弾丸を探そうとしましたが役立たずでした。

 もう一人が海軍のエンジニアだったジョージ・リードで、氷で部屋を冷やして瘴気を祓う装置を持ち込みました。この年代ですら機械で瘴気を祓うとか言っていたのはトンデモさんです。

 彼はアメリカ建国の英雄の一人である同姓同名のジョージ・リードの親戚です。この時代のリード家には偉大な先祖と同姓同名の人が沢山いました。識別困難になっていますが、海軍提督のジョージ・リードとは別人です。

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ロバート・トッド・リンカーン(画像は「Wikipedia」より)(画像=『TOCANA』より引用)

 リンカーン(息子)とリード(同姓同名の親戚)のコンビはギャグにしか見えません。

 後に医療過誤が厳しく追及されることになったのは、邪魔にされて夫を殺された大統領夫人が怒り狂っていたからです。

 グッドフェロー先生の話が比較されたのもトンデモ医師団の主張を粉砕するための症例集めが行われたからです。

 現代でもケネディ大統領の甥がたちの悪いアンチワクチンキャンペーンをやっていますが、駄目な大統領の親族がトンデモ医療に走るのはこの時代から変わっていません。

 リンカーン(息子)がガーフィールド大統領の医師団のメンバーをトンデモ医師だらけにしたせいです。

 実際にはガーフィールド大統領一人にしか関わっていないのですが、ガーフィールド大統領があまりにも酷い死に方をしたせいで、ロバート・トッド・リンカーンは三人の大統領の暗殺の疫病神みたいに言われています。

 一人目は父親であるリンカーン大統領暗殺事件、二人目はガーフィールド大統領暗殺事件、三人目はマッキンリー大統領暗殺事件です。

 ちなみに、リンカーン家で80過ぎまで生きた人はロバート・トッド・リンカーン一人だけで親族の病死が続いていて、現代ではリンカーン家の血筋は絶えています。

 禅で癌を治そうとして死んだジョブズみたいにトンデモ医療に傾倒していたんじゃないでしょうか?

 それも、自分たちだけじゃなくて周囲の人間を巻き込みまくっていたので疫病神と呼ばれるハメになった気がしています。

 医療過誤は決して医者だけの問題で起こるわけではありません。

 変な医者を集めて俺の考えた最強医療をやろうとする偉い人の親族も医療過誤の原因なのです。

参考:「The Gold Journal」「Clinical History Of The Case Of President James Abram Garfield (Nabu Press)」「George E. Goodfellow (Wikipedia)」「トゥームストーン(Wikipedia)」「Frank Hastings Hamilton: medical educator and surgeon to President Garfield(PubMed)」ほか

文=亜留間次郎

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提供元・TOCANA

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