
大手イタリア料理店チェーン「サイゼリヤ」が粉チーズ(グランモラビア)の無料提供を終了させるのではないかという「噂」が以前から広まっていたが、本当に終了となることがわかった。サイゼリヤは10日、本日(11日)をもって無料提供を終了すると正式に発表。その理由としては、一部の客が多量に使いすぎるためだという指摘もSNS上でみられるが、その真相はいかに――。
サイゼリヤではトッピング用チーズとして、無料の粉チーズ(グランモラビア)と100円(税込み/以下同)の「ペコリーノ・ロマーノ」の主に2種類が提供されており、今回終了となるのは前者。サイゼリヤのファンのなかには、サービスコーナーに置かれている粉チーズやシチリア産の海塩、唐辛子フレーク、特製ホットソース、オリーブオイルといった調味料を使って料理を自由にアレンジして楽しむ人も少なくないだけに、今回の発表を受けてSNS上では以下のような声があがっている。
<自由に使えなくなるのは残念だけど、使う使わないに関わらず料理の値段に転嫁されるよりは使いたい人は払って!で良いと思う>
<従前の粉チーズ有料提供はしてもらえるのかな。それとも、ペコリーノ・ロマーノだけになるのかな…>
<はい (サイゼで粉チーズもさもさかけたことありますの札を首から下げる)>
<粉チーズ枯らすほどかける奴いるからね>
<今まで粉チーズ使わせてくれてたことにサイゼリヤに感謝ですよね 若い時からお世話になってました>
<大好きなのに提供終了しちゃうのかなりショックなんだけど、やっぱり価格高騰のせいなのかなー?>
外食業界関係者はいう。
「『たかが粉チーズ』と思われるかもしれないが、例えば1本80g入りの粉チーズの調達価格が300円、1店舗当たり1日の平均消費量が10本だとした場合、サイゼリヤは全国に約1000店舗あるので、一日だけで約300万円、1カ月で約9000万円のコストとなり、決して小さな額ではない。大半のお客は常識の範囲内で必要な分量だけを使用するが、ほんの一部に無料をいいことに大量に振りかけるお客がいるのも事実で、昨今の調達コスト上昇に経営を圧迫されるなか、サイゼリヤとしては廃止という判断に至ったのかもしれない。
外食チェーン各社の値上げラッシュが広まるなか、サイゼリヤは値上げをしない方針を明確に打ち出しており、現在のメニューのクオリティと量、価格を維持していくためには、どうしてもコストをどこか削る必要が出てくるのは自明なので、今回の決断は『やむを得ない』といえる。多くの客にとっても、現行価格が値上がりするよりは粉チーズの無料提供が終わるほうがましだろうし、理解は得られるだろう」
当サイトは4月20日日付記事『サイゼリヤに無料の粉チーズ廃止情報の真偽を聞いた…悩ましい「大量に使う客」問題』で無料提供廃止の背景について考察していたが、今回、改めて再掲載する。
――以下、再掲載――
大手イタリア料理店チェーン「サイゼリヤ」が、調味料として客に無料で提供している粉チーズについて、無料での提供を廃止することを検討しているのではないかという情報が一部で広まっている。さらに、その理由として、一部の客が多量に使いすぎるためだという声もみられるが、果たしてこれらの「噂」は事実なのだろうか――。
全国に1059店舗(2023年3月現在)を展開するサイゼリヤの業績は好調だ。同社の予想によれば、2023年8月期の売上高は前期比23%増の1772億円、連結純利益は同26%減となるものの42億円を確保、営業利益は同14.5倍の61億円となる。連結純利益ベースでは減益となるものの、原材料費やエネルギーコストの高騰を受けて外食チェーン各社が相次ぎ値上げに動くなか、サイゼリヤは値上げをしない方針を打ち出しており、コスト増分を価格に転嫁せず身を削る企業努力を続けている。来店客数(全店合計)は前年同月比増が続いており、そうした取り組みが客から支持されている様子がうかがえる。
サイゼリヤといえば、300円(税込み/以下同)の「辛味チキン」や300円の「ミラノ風ドリア」、400円の「ミートソースボロニア風」、200円の「フレッシュワイン(デカンタ250ml)」など低価格な商品が多くのファンを惹きつけている。
「自社で農園を持ち野菜を種から開発したり、オーストラリアにハンバーグとミラノ風ドリアのための自社工場を建設したり、ワインやオリーブオイル、生ハム、チーズなどをイタリアのメーカーや農場と共同で開発して直輸入したりと、単なる一外食企業の枠を超え、素材の開発・生産のフェーズからしっかりと関与。それが圧倒的な低価格と高いクオリティの実現につながっている。
また、サイゼリヤは期間を区切っての安売りセール的なことはしないことで知られているが、昨年は一定の人気があったパスタの大盛り・おこさまサイズについて値上げではなく廃止という判断をするなど、『いつも低価格』という消費者からのイメージを守るための戦略が非常に巧妙。このほか、アルバイト店員が積極的に改善の提案をしたり、自発的に判断して動ける仕組みが整っており、店舗オペレーションでも学ぶべき点は多い」(外食業界関係者)