会員制スーパー「コストコ」のプライベートブランド「カークランドシグネチャー」のトイレットペーパー「バスティッシュ」が原因と思われる排水管の詰まりが多発しているというコメントがSNSに相次いで投稿され、注目を集めている。たとえば、

<ウチのトイレの配管が詰まった時も、業者から『コストコのトイレットペーパーを使いましたか?』と聞かれた>

<節水トイレだからなのか、ウチでも詰まった>

<コストコのは水に溶けづらい>

といった声が寄せられている。

 本当にコストコのトイレットペーパーは排水管に詰まりやすいのか。それともトイレットパーパー以外のところに詰まる要因があるのか。住宅の水道設備工事を行う会社「イナセ」の代表取締役、川田賢興さんに話を聞いてみると、開口一番、こんなコメントが。

「詰まりやすいです」

 水回りのプロがこう主張するのには理由があった。

「コストコのトイレットペーパーが原因の排水管詰まりは、我々の業界では『あるある話』です。高圧洗浄機を使って作業したら、溶けてないトイレットペーパーの塊がゴロンと出てきます。そこで一度、さまざまなメーカーのトイレットペーパーを使って、どのトイレットペーパーが溶けやすいのかを実験してみたのですが、コストコのものはあまり溶けなかったですね」

 川田さんが行った実験の映像はこちら。

工事業者としての実感だけでなく、検証してみた経験もあっての主張なのだ。

詰まりやすい構造のトイレ

 では、コストコのトイレットペーパー以外では、トイレ排水管の詰まりを起こす原因として、どのようなものがあるのだろうか。

「国内メーカーの肌触りを重視した二重ロール、三重ロールの商品も水に溶かして実験してみたのですが、こちらも結構溶けずに残りました。コストコのものだからとか海外製のものだからダメで、国内製のものは大丈夫というのではなく、商品によって溶けやすいもの、溶けづらいものがあるようです」

 商品によって詰まりやすいものとそうでないものがある、といわれても、水道周りの素人、トイレットペーパー選びの素人である我々が詰まりやすい商品を見抜くのは難しい。そこで、トイレの排水管を詰まらせないようにする方法を聞いてみた。

「トイレには構造上、詰まりづらい作りのものと、そうでないものがあります。前者のタイプはトイレとお風呂の位置が近い構造になっているもの。浴槽やシャワーでたくさんの水を使い、普段から排水管に大量の水が流れますから、トイレットペーパーが溶けずに残ったとしても水の勢いで排水できます。ですが、トイレが家の奥の方にあるとか広いお宅になると、トイレからの水の勢いだけで排水しなければならないので、どうしても詰まりやすくなります」

 そういった構造のトイレの場合、詰まりを避けるにはどうしたらいいのか。

「一番いい方法は、水をたくさん流すこと。一般的な感覚では、トイレで用を足した場合、すべて拭き終わった後に水を流しますが、途中で一度流すぐらいの感覚で使ったほうが詰まる可能性は下がります。サイクロン式の節水型トイレは、一度に流す水の量を設定する機能があるので、トイレが奥のほうに設置されている家の場合は水量をMAXに設定したほうがいいでしょう」

 サイクロン式のトイレの水量設定方法は、説明書やメーカーのホームページを調べると出てくるので、詰まる可能性が高い家の方は試していただきたい。