“ハイブリッド”化したユニコーン

 サン人が岩に描いたユニコーンがヨーロッパの影響を受けている可能性は高い。

 植民地時代、先住民はやって来たヨーロッパ人の家紋、バッジ、ボタン、あるいは物語を通してヨーロッパのユニコーンのイメージに触れていた。記録されている例の1つでは、岬の先住民がイギリス王室の紋章を見て、そこにあるユニコーンに反応して見解を述べたという。

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スコットランド王家の紋章 画像は「Wikipedia」より(画像=『TOCANA』より引用)

 それによれば先住民たちはユニコーンを“神”と解釈したということだが、おそらく本物の神のような地位にあるものではなく、神話的でフィクショナルな性質の“神”と見なしていたと考えられるということだ。

 そしてこの外国のユニコーンのイメージが徐々に地元のユニコーンのイメージに影響を与えて混ざり合った可能性があるという。ヨーロッパの植民地時代に描かれた岩絵のユニコーンの中には、角がエランド(イランド)に代表されるアフリカに生息するアンテロープ(レイヨウ)のように後ろ向きではなく、ヨーロッパのユニコーンのように真上や前に向いているものがあるという。これはヨーロッパのユニコーンの影響かもしれないのだ。

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「The Conversation」の記事より(画像=『TOCANA』より引用)

 岩絵に描かれた一角の動物は単なるサイやレイヨウではなく、また影響は受けていたとしてもヨーロッパの神話に登場する生き物でもない。

 先住民族の信仰はヨーロッパのユニコーンと南アフリカの“ユニコーン”の驚くべき類似性がまったくの偶然であることを説明しているが、植民地時代の南アフリカで外国の神話と地元の信仰が混ざり合い“ハイブリッド”化したユニークなユニコーンが誕生したということなのかもしれない。

参考:「The Conversation」ほか

文=仲田しんじ

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提供元・TOCANA

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