パイロットが大量に不足する「2030年問題」
自家用と事業用を問わず、パイロットと呼べる人は日本にどのくらいいるのか。
「欧米に比べてかなり少ない。今は増えたが、それでも7000~8000人くらいだろうか。アメリカは27万人と桁違いに多い。フランスが1万5000人くらい、イギリスも1万8000人くらい。そのうち、エアラインのパイロットは、日本は約6000人で、アメリカは約2万8000人。フランスやイギリスは約4000人」(橋本氏)
要するに、日本では飛行機を操縦できる人の多くはエアラインパイロットということになる。
「ライセンス取得が難しいというだけでなく、日本では個人で飛行機を持つこと自体が大変であり、富裕層でも空を楽しむような文化があまりなかった」(橋本氏)
パイロット志望者が増えているのかといえば、「必ずしもそうではない」と橋本氏は言う。
「もちろん、空に憧れる若い人もいるが、みんな大変だというのがわかっている。もっと楽な仕事もあるだろう。国はパイロットには夢があるということを『空の日』にイベントでPRしているが、『2030年問題』を乗り切れるかどうか」
LCCの急成長もあって、世界的にパイロット不足の状況になっている。日本では1980年代後半のバブル経済期が崩壊するまでに採用したパイロットが、2030年頃に大量に定年退職していく見込みだが、これが航空業界における「2030年問題」だ。とくにアジアではパイロットの取り合いが航空会社間で繰り広げられている。
「日本も昔から人材不足は外国人パイロットで補ってきたが、最近は中国がJALなどのパイロットを高額でスカウトしている。日本人パイロットは責任感が強く優秀なので人気がある」(橋本氏)
空の世界にも少子高齢化が影を落としている。
(文=横山渉/ジャーナリスト、協力=橋本安男/航空経営研究所主席研究員)
提供元・Business Journal
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