応募資格が厳しいのは自社養成ではないため
パイロットになるにはどのようなルートがあるのか。航空経営研究所主席研究員で桜美林大学航空・マネジメント学群客員教授の橋本安男氏はいう。
「まず、エアラインのパイロットで多いのは、ANA(全日本空輸)やJAL(日本航空)などの大手が行っている自社養成。大手はこれが基本だ。大卒で入社すれば、給料をもらいながら訓練を受けパイロットになれる。次に多いのは、航空大学校。国家が養成するという形なので、学生が負担する費用もかなり安い。その次にくるのが最近は私立大学だ。首都圏だと桜美林大学、東海大学、法政大学、工学院大学などに養成コースがある。ただ、どこも卒業までに2000万円程度の学費がかかる」
これら以外に、一般ルートや自衛隊ルートもあるという。
「『一般』とは一般の航空事業会社のことで、本田航空や朝日航空のことだ。そうした会社ではチャーター事業や航空機使用事業以外に、パイロット養成事業を行っている。ただし、個人負担も大きい。JTAにはこのルートから入社する人もいる。そして、最後に、自衛隊の戦闘機や輸送機に乗っていた人が40~50代で民間に行くケース。数は少ないものの、昔からあるルートだ」(橋本氏)
橋本氏はJTAの応募資格についてこう話す。
「一般学生を採用してパイロットに育てる自社養成の仕組みがないので、JTAは他のルートでパイロットを採用している。他のルートというのは公表されていないが、ほとんどは航空大学校からだ。航空大学校からだけでは十分に採用できないので、一般の航空事業会社や私大からも採っている。それでも足りない分を補充するために、訓練生という形での一般公募を行うわけなので、ハードルが高くなるのは当然だ」
今回の採用を担当するJTA運航部運航企画グループに「訓練生ではなく即戦力ではないのか」と聞いたところ、次のような回答があった。
「ライセンス等はパイロットになるための入口の資格にすぎない。入社してから訓練が必要であり、当社の場合はその期間が1年間」
入社が決まっても多数の乗客を乗せるエアラインのパイロットになるのは、かなり厳しいということだ。セスナ機を飛ばすのとはだいぶ勝手が違うようだ。JTAはJALグループの航空会社だが、例年はグループで同時に募集していた。
「今回のようなかたちで当社単独での公募は数年ぶり。昨年まではグループで合同募集していた。ただ、一括採用で後から配属を決めるのではなく、応募の段階で入社先が決まっている形式」(JTA運航部運航企画グループ)