KFC「チキンフィレバーガー」との比較

 では、KFCの「チキンフィレバーガー」と比較した場合の違いはどうだろうか。外食チェーン関係者はいう。

「チキン単体での比較でいうと、やはりKFCのほうが手が込んでいる分、クオリティは上。だが、これが『チキンフィレバーガー』になると、厚めの肉と衣、バンズが重なり食感としてゴソゴソ感が出てしまっている。さらに『単にチキンをバンズで挟んだだけ』という印象で、チキンとバンズ、ソースの存在感がバラバラで全体的に調和が取れていないと感じる。食べ進める途中でバンズが邪魔と思えてくるし、トータルでの厚みがありすぎてやや食べにくい。

 それに比べてマクドナルドの『チキンクリスプ』はKFCと比べるとチキンの厚さは薄いが、逆にそれによってバンズ、レタスとのバランスが取れていて、バーガートータルで絶妙な調和が生まれている。重要なカギとなっているのが、バンズの美味しさだ。『しっとり』と『ふっくら』が共存しており、それがサクサクのチキンとソースとのハーモニーを生んでいる。総合すると個人的にはマクドナルドの『チキンクリスプ』のほうがバーガーメニューとしては高い評価をつけたいと感じる」

 そんな『チキンクリスプ』だが、こんな懸念もあるという。

「『チキンクリスプ』が優秀すぎるため、価格が2倍の『チキンフィレオ』(410円)の需要を食ってしまわないかが気がかり。『チキンフィレオ』のほうがパティは厚いし、あのオーロラソースはかなり魅力的だが、『2倍のお金を払うならチキンクリスプで十分』と感じる客が一定数生じる可能性がある。特に10代の中高生など若者層は、そうした購買行動に向かうかもしれない。もっとも、この年代の客層はバーガー類を注文せずに、グループで『チキンマックナゲット』や『マックフライポテト』をシェアするという傾向もあるため、マクドナルドとしてはそうした低予算の若い客層を意識して低価格で『揚げたチキン』系のメニューを投入したという狙いもあるかもしれない」(同)