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ピックアップトラックが見直された日本でもウケそうな?
関係者の努力で北米への輸出にこぎつけた初代(1977年)
ピックアップトラックが見直された日本でもウケそうな?
国産4WD乗用車の草分けであり、フォレスターなどSUVも人気車種となっているSUBARU(旧・富士重工)ですが、意外にもクロカン的な車種を販売したことはありません。
しかし日本国外ではいかにもスバルらしいAWDピックアップトラックを販売していた実績があり、国内での正規販売こそされなかったものの、タミヤのRCカーの販売で子供の方が知っていたり、マニアや関係者による逆輸入車がわずかながらも流通していました。
古くは「ブラット」、2000年代に入ってからも「バハ」が販売されたSUBARUのピックアップトラックですが、トヨタ ハイラックスの堅実な販売実績や、2024年2月に再上陸する三菱 トライトンの前評判を見ると、日本でも復活したらウケそうな気がします。
今回は「忘れがちな名車」として、スバルの「ブラット」と、後身である「バハ」を紹介しましょう。
関係者の努力で北米への輸出にこぎつけた初代(1977年)
実験的な「スバルff-1 1300Gバン4WD(1971年)」を経て、初代レオーネエステートバン4WD(1972年)で、個性的な4WD乗用車メーカーとして歩み始めた富士重工(現・SUBARU)。
アメリカで税金の安さから若者向けに人気だった、ピックアップトラックにも得意の4WDを引っ提げ参入してもらいたいと、SOA(スバル・オブ・アメリカ)の要請で初代レオーネベースで開発に着手しますが、話はそう簡単にいきません。
問題は輸入ピックアップトラックに課せられた、チキン・タックスという高額な税金で、もともとヨーロッパへ輸出する食用鶏肉の関税引き上げに対抗する報復関税でしたが、もちろんアメリカに進出したい日本メーカーにとっても悩みの種。
他社のようにラダーフレーム式の小型トラックなら、キャブまでの前半部のみで「これはキャブシャシーでトラックじゃありませんよ」とアメリカへ出荷、現地で荷台を取り付け関税をクリアできましたが、あいにく富士重工にはラダーフレーム式の車種がありません。
先進的なモノコックボディ乗用車ばかり作っていたのが裏目に出た形ですが、それでも当局に掛け合い、デッキに座席を設ければ「荷台じゃないからトラックじゃない、4人乗り乗用車です!」という扱いになると判明。
こうして独特の補助席つきピックアップトラック「ブラット」が誕生、目論見通りアメリカで好評を得るのでした。