『デビルマン』『マジンガーZ』『キューティーハニー』など、数多くの傑作を世に送り出してきた漫画界の巨匠、永井豪による描き下ろし原作を実写映画化! エロスとバイオレンスに満ちたスーパーヒロインの名は『唐獅子仮面/LION-GIRL』!

 本作の監督は、『サムライ・アベンジャー/復讐剣 盲狼』『女体銃 ガン・ウーマン』など、過激なジャンル・ムービーを世界に発信し続ける鬼才、光武蔵人。人類滅亡寸前の世界に誕生した唐獅子仮面と悪の戦いを描く。『ボルケーノ2023』のトリ・グリフィス、『13日の金曜日』のデレク・ミアーズら、キャストも豪華だ。

 今回TOCANAでは、映画の公開に先駆けて光武監督にインタビューを行った。制作に至った経緯やコンセプト、キャスティングなど、本作の魅力をたっぷり語ってもらった。

「何か感じる」心霊スポットで撮影! 永井豪原作『唐獅子仮面/LION-GIRL』 光武蔵人監督インタビュー
(画像=撮影:本間秀明,『TOCANA』より 引用)

アクションへのアンチテーゼとしての超能力バトル

――監督はチャンバラがお好きでガンマニアだそうですね。それなのに、『唐獅子仮面』の戦闘シーンで超能力バトルをメインにした理由を教えてください。

光武蔵人(以下「光武」):超能力は昔からやりたかったんですよ。それと、今流行りのコリオグラフィー過多のアクションシーン、すなわち、ダンスになっていて、段取りになっているアクションがちょっと嫌いになってきているのもありました。そういうものが出てきた初期は「すごいな」「おもしろいな」と思いましたけど、今は誰でもやるようになっちゃったじゃないですか? たとえば、落とした拳銃を足で蹴飛ばして、こっちでつかまえてパーンとか、そんなのばかりですよ。僕は「そんなのしないから」と思って嫌いになってきたのもあり、それを今さら後追いでやるのも嫌だったので、アクションへのアンチテーゼとして超能力バトルにしました。それに、超能力バトルは演技力の問題になるので、そういうところで見せるのもおもしろいかなとも思います。

 ちなみに、今回は拳銃も撃ちますけど、「一発一発にどれだけの思いを込められるか?」というテーマがあって、そんなに発射の弾数はないんですよ。西部劇的というか、一発二発で終わる銃撃戦を多くして、一発一発が持つ意味を重くしました。

「何か感じる」心霊スポットで撮影! 永井豪原作『唐獅子仮面/LION-GIRL』 光武蔵人監督インタビュー
(画像=©2022 GO NAGAI/DYNAMIC PLANNING・TOEI VIDEO,『TOCANA』より 引用)

――そもそも監督はアクションだけで1時間みたいなのがお好きではないんですよね。

光武:そうなんですよ。僕が大好きな映画監督のサム・ペキンパーも「アクションは手数ではない。一つ一つに込められた意味やキャラクターが描かれていないとアクションは意味がない」とおっしゃっていて、全くその通りだと思うんですよね。感情移入できないヒーローがピンチになってもどうでもいいし、感情移入できない人たちが何人殺されてもどうでもいい。最近の物語はそういうところが若干おろそかにされている気がするので、ちゃんとしていた昔のものを次の世代にも継承していきたいですね。

――監督は、アクション過多にしないだけでなく、語り過ぎないことも意識されていますよね。

光武:そうですが、今回の映画はしゃべり過ぎたと反省しています。ヒーロー物の初登場、「第1話」という言い方を敢えてするとすれば、どうしても説明過多になるんですよね。「どうやってこのヒーローは生まれたのか?」「どういう能力を持っているのか?」「どういう時代背景なのか?」などの説明が多くなるので、説明過多、セリフ過多にはなるんですけど、映画ですから「画で語れることは画で語ろう」という思いはあって、それを常に目指していますね。