「強きを挫き、弱きを助ける=任侠」というコンセプト

――作品のあちこちに日本語のセリフがあります。たとえば、宿敵の鬼死魁星が「オマエハクビダ」と言って部下の首を刎ねるシーンがあります。こういうのを海外の俳優さんはどう受け取るのでしょうか?

光武:非常にノリノリでやってくれますね。「オマエハクビダ」は、アメリカでは「クビ」と言わないで “fired” なので、あれを英語のギャグにするなら、 “You’re fired.” で “fire” して(銃で撃って)終わるというギャグになります。それをちゃんとデレク(鬼死魁星役の俳優)に説明したら、彼が「おもしろいね!」とノリノリでやってくれました。

――こうした日本語を英語圏の方々が観てどういう反応をするのか、気になるところではありました。

光武:やっぱり楽しんで観てくれますよ。90年代~2000年初頭に「アメリカ人は字幕が読めない」とよく揶揄されましたけど、今は読むんですよね。その証拠に『ゴジラ』や宮崎駿監督のアニメがヒットしています。アメリカ人は字幕に全然抵抗がなくなってきています。これはテレビゲームのおかげかなと思っているんですよね。ゲームは字幕が出るじゃないですか? あれに育てられたアメリカの今の若い世代は、映画を字幕で観るのにそんなに抵抗がありません。逆に、日本人が今、吹き替え版の洋画の方を好むので、字幕が読めないのは日本人になっているのかなと思います。歴史は繰り返すというか、いろんなことが回っていきますね。

――英語のセリフでも、「仏に逢うては仏を殺し……」と言っているのは禅の思想ですが、これは外国の方々になじみがあるのでしょうか?

光武:なじみはないですけれど、おもしろがってくれますよね。アメリカの俳優さんはわからないことをガンガン聞いてきてくれます。だから、僕が「これは禅の思想なんだ」と説明すると、彼らは “Oh!” と言ってノってくれます。

エロくて強い正義の味方が誕生! 永井豪原作『唐獅子仮面/LION-GIRL』 光武蔵人監督インタビュー(前編)
(画像=撮影:本間秀明,『TOCANA』より 引用)

――『唐獅子仮面』で最も大切なコンセプトの「任侠=ヤクザ」は、現在の日本だと暴対法などの影響もあって悪者扱いされがちです。そのヤクザが今回はヒーローと結びついているので、外国の方々が理解しにくいのでは?

光武:もちろん、アメリカ人も「ヤクザ=マフィア」みたいなイメージです。でも、『唐獅子仮面』に登場するのはオールドファッションヤクザ、すなわち、「任侠」があった頃のヤクザです。彼らは、政府がちゃんとしていなかった時代に、少しお金をもらって村や町を守る自警団だったわけですよ。だから、「強きを挫き、弱きを助ける」です。僕が、犯罪組織になる前の、ピュアだった頃のヤクザについて話すと、それもアメリカ人キャストはおもしろがってくれました。「任侠」というコンセプトもちゃんとわかってくれましたね。

(文=本間秀明)

『唐獅子仮面/LION-GIRL』

2024 年 1 月 26 日(金)ヒューマントラストシネマ渋谷、

池袋シネマ・ロサ、シネマート新宿 他 全国ロードショー!

原作:永井豪 監督:光武蔵人

キャスト:トリ・グリフィス/ダミアン・T・レイヴン/岩永ジョーイ/デレク・ミアーズ/シェルビー・パークス/マット・スタンリー/

製作:東映ビデオ/2023年/日本/カラー/121分/

配給:エクストリーム

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提供元・TOCANA

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