実はこのアバターが大人気で、筆者の目の前でも親に連れられた子供がしばらくアバターの前にたたずみ、手を振ったり話しかけていた。空いた時間にアバターとじゃんけんをしたり、雑談を楽しみやってくるお客も増えているという。
モニターの足元に置かれているのが買い物かご。実は素材全体の30%がリサイクルされた約53個のペットボトルのキャップが使用されているのだという。店を見渡すと、通路が通常の店舗よりも広くバリアフリーとなっている。これなら車椅子で来店しても安心して店舗を回ることができる。
アイテム数は約4200アイテム。通常店舗とそれほど大きく違うわけではないが、この店舗には消費期限の短いチルド弁当や常温弁当がない。チルド弁当や常温弁当はこれまでコンビニ本部にとっては収益の大きな柱であったが、その一方で食品ロスの温床となっていた。これに代わって登場したのが冷凍弁当と店内調理「まちかど厨房」だ。大型冷蔵庫には「おてがるのり弁(税込み315円)」や「ナポリタン&オムライス(税込み497円)など7品目の冷凍弁当が並んでいる。チルド弁当や常温弁当の代わりに冷凍弁当があることに、お客は「冷凍弁当はストックして食べたいとき食べられる」と好意的にとらえているという。

一方で、まちかど厨房は作りたての料理を提供している。注文をパソコンやスマートフォンから受け、そこから店舗奥の厨房で料理される。決済はスマホで注文と同時に行うことができる。調理時間は5~10分程度。料理ができるとカウンター上の掲示板に番号が表示され、お客のスマホにもショートメッセージで通知が届くという。家から注文し、できたころ合いで受け取りに行けばいちいち店舗で待つ必要もない。牛乳など飲料や食品が並べられている冷蔵ショーケースにも一工夫されている。
「これまでパック牛乳や惣菜の冷蔵ショーケース棚にはカバーがなかったので冷気が拡散し、かなり電気代がかかっていました。そこにガラスの扉を付けたことで、従来のショーケースに比べ30~40%程度節約できています」(ローソン広報担当者)
扉はガラスでできているが軽く開閉できるよう設計されている。それでもSDGsの取り組みのために、これまでパック牛乳や冷蔵惣菜の棚になかった「扉を開ける」というひと手間を競争の激しい都心の店舗のお客が受け入れてくれるのか、大きな課題だという。
30人募集したアバターオペレーターに400人が殺到
決済は店内に3台ある「セルフレジ」か「ローソンスマホレジ」。原則無人だが、セルフレジの操作がわからないお客には店舗の従業員がサポートしてくれる。3台のレジのうち1台にはアバターが設置されており、「あおい(女性風店員のアバター)」さんか「そらと(男性風店員のアバター)」君が懇切丁寧に説明してくれる。

「モニターの上部につけられているセンサーを通してお客様の動作などを見ていますから、セルフレジの操作がうまくいっているのかいないのかをその場ですぐに見ることができます。店員とはインカムで情報をやり取りできるようになっています。最初はロボットかAIだと思っていて、決まった内容しか話せないんじゃないかと不安に思っているお客様もいますが、会話をしているうちに少しずつ理解してもらっています」(30代、兵庫県淡路島在住、女性)