もう一つの理由は日本の防衛産業が防衛省に寄生する零細事業ばかりだからだ。小さな防衛省の市場を複数の企業で分け合っている。これらを喰わせるために発注を小さくしているのだ。その好例がヘリメーカーだ。機体メーカー3社、エンジンメーカー2社がほぼ防衛省需要に依存している。例外は川重とエアバスヘリとジョイントベンチャーのBK117ぐらいだ。国内市場にしても民間は勿論、海保、警察、消防、自治体も外国製ヘリを使用している。そしてメーカーには内外の市場に打ってでて軍民両市場で一定のシェアを取りメーカーとして自立するつもりはサラサラない。50代になって親に喰わせてもらっている「子供部屋おじさん」と同じである。

本来このような場合、政府や防衛省、経産省はメーカーの統廃合を促すべきだ。事実、欧州は勿論、ロシアや共産主義の中国ですらこれを実行している。だが我が国では決断ができない。それは政治のリーダーシップが欠如しているからだ。メーカーの統廃合ができないならば、輸入に切り替えてヘリ産業を潰すという手段もある。そうすれば調達コストは数分の一に下がる。どうせ将来自立する気がないのだから駄目な業界に補助金の如く予算をまく必要はない。メーカーはカネや人員を儲かるビジネスに振り向ければいい。このような不効率な防衛産業が放置されているのも、これまた政治の無策の原因である。

この惨状に輪をかけたのが第二次安倍政権です。米国の歓心を買うために、不要で高価な米国製兵器を大人買いして、本来自衛隊に必要な予算を圧迫して自衛隊を弱体化させたのは安倍晋三と自民党政権です。

ぼくは官僚から「キヨタニさん、もう少し丸く話ができませんか?そうであれば自民党の部会とかもお呼びできるんですが」とか言われることがあるのですが、自民党の部会とかはそういう厳しいことを言う人間を呼ばずに、自分たちが気持ちの良くなる人間を呼んでいるのでしょう。

下世話な例えをすると、オナニーのおかずになるような意見だけを聞きたいのでしょう。それと組織防衛第一の防衛省や自衛隊からのご説明受けていれば現実を知ることもできないし、当然まともな判断もできません。

可哀想な戦闘機と可哀想な防衛大臣
(画像=衆院予算委員会にて答弁する岸防衛大臣 国会中継より、『アゴラ 言論プラットフォーム』より 引用)

それから答弁をした岸防衛大臣の健康問題です。今回驚いたのは岸大臣の弱り具合です。通常国会では答弁するときは答弁台に移動して立ったまま答弁するわけですが、今日は岸大臣専用の座ったまた答えるための答弁台がわざわざ別に作られてそこに岸大臣はずっと座っていました。かなり喋るのも困難な感じでした。

昨年から杖はついていましたが、記者会見時に会見室入り口で杖を置いて入室していました。それが今年になって室内に入る際も杖をつき、2月11日の会見からは座ったまま会見を行うようになりました。普段は車いすを使っているという報道もあります。