報道の記者であれば回避できたのか…歴史を学ぼう
今回のようなケースでは、制作者はどうすればよかったのでしょうか。沖縄でかつて国によって標準語が強制された過去があったという歴史を重視すれば、沖縄弁を使わせないで標準語だけで縛るという一種の“強制”を番組のゲームとして採用するのは、沖縄の視聴者につらい過去を思い起こさせることになるかもしれないと想像すべきでした。
テレビというマス・メディアで情報を発信する以上は、前述したように「知らなかった」は言い訳になりません。日本では過去の負の歴史を伝えようとしない傾向があり、過去のリアルな歴史を細かく伝えません。そのために歴史から学ぶ、ということに欧米諸国に比べると社会全体があまり熱心とはいえない現状があります。だからこそメディアに関係する人には「歴史」に敏感になってほしいと思います。こういう企画を考える人や番組制作に携わる人は、沖縄において標準語の強制の歴史があったのかどうかを慎重にチェックした上で企画を立ててほしいと思います。少なくともニュース番組をはじめ報道番組であれば、こうした歴史を調べてから放送しただろうと思います。報道番組は「事実」を徹底的に調べてから制作するジャンルだからです。
一方でバラエティ番組でもあっても、いやバラエティ番組こそ、結果的に誰かを笑ってしまうジャンルだからこそ、悲しい歴史を体験した人たちを笑うような行為は絶対にしないでほしいと思います。それは、気がつかないうちに誰かを差別する笑いにつながってしまいます。どうか「歴史」をよく調べてから企画をつくってほしいと思います。
(協力=水島宏明/上智大学文学部新聞学科教授)
提供元・Business Journal
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