場合によっては深刻な問題になるケースも

 こういう歴史がからむ問題は時間が経つにつれて風化していきます。おそらく制作者側には「悪気はなかった」のでしょうし、こうした沖縄の歴史についても「よく知らなかった」という可能性が大きいと思います。ただ、放送というマス・メディアで情報発信する立場にいる以上は、「知らなかった」というのは言い訳にはなりません。

 番組制作者に「悪気はなかった」ものの、過去の歴史に無知で放送局の会長や社長らトップが謝罪した問題が2021年に起きました。日本テレビの『スッキリ』でのアイヌ差別事件です。アイヌ民族に対する典型的な差別表現を、番組内の「謎かけ」として披露してしまったのです。この時は、あまりに典型的なアイヌ差別がテレビで放送されたため、北海道アイヌ協会などが日本テレビに正式に抗議して大きな問題になりました。

 このように即アウトといえるケースと比べると、今回のTBSの放送は人によって問題ないという意見もあり、やや議論が分かれるケースといえるかもしれません。ただ、やはり番組を放送する立場にいる人間には、歴史をきちんと学んだ上で人を傷つけない放送に努めてほしいと思います。