超過死亡を防ぐのは医療資源の適正配分
図1でもわかるように、昨年は約3万人の過少死亡であり、この最大の原因は呼吸器系疾患(肺炎・インフルエンザ)の減少だった。つまり昨年行われた患者の隔離や行動制限で高齢者が延命され、その「在庫処分」が今年おこなわれたと考えるのが妥当だろう。
半年で2万人というペースは、去年の反動としては速いが、世界的にみると大したことはなく、ワクチン接種の反動が大きいイギリスやイスラエルのようにはなっていない。日本の超過死亡データの集計は遅いので、9月以降の第5波の影響はこれから出てくるが、死者が少なくなったのはワクチンの効果だろう。
このデータでわかるのは、超過死亡を減らすのは行動制限ではなく医療体制だということだ。医療資源の絶対量は不足していないので、救急医療の適正配分が必要だ。隔離は死を延期するだけである。先進国で被害最少だった日本で、高齢者の死期を1年延期するために、これほど多くの犠牲をはらう必要があったのだろうか。
文・池田 信夫/提供元・アゴラ 言論プラットフォーム
【関連記事】
・「お金くばりおじさん」を批判する「何もしないおじさん」
・大人の発達障害検査をしに行った時の話
・反原発国はオーストリアに続け?
・SNSが「凶器」となった歴史:『炎上するバカさせるバカ』
・強迫的に縁起をかついではいませんか?