アラブの石油王の息子、台湾の有名企業の御曹司といった人脈の価値
だからと言って年間500万円を支出する理由として、やはり高すぎると思わざるを得ない。彼らが費用対効果としてみる海外留学のもう一つの大きなメリット、それは人脈だ。しかも大学留学からのそれとは比べ物にならない所は、中学から寝食を共にした人脈だ。
年間500万円を出せる層はかなりのステータスを持った家庭だといえる。イギリスで言えば中東や中国、ヨーロッパ各国から幅広くやって来る。ルームメイトがアラブの石油王の息子だったと言う話や台湾の有名な企業の御曹司だったと言う話が普通に出て来る。中学生の頃から培った友情はきっと将来ビジネスの世界で生きてくる。これも富裕層が子供達を海外の学校に行かせる大きな理由の一つだ。
日本では、教育は家・保険に次ぐ大きな投資だ。しかも子供の未来を直接左右する重要な投資と言える。これまで経済的にも教育的にも様々な規制を続け鎖国同然だった日本では、投資は比較的簡単だった。偏差値教育一点張りでよかった。小学4年生から塾に通い、名門私立中学に入学し、東大を頂点とした学歴ルートを歩みさえすれば、ある程度未来の幸福は保障された。親の時代はそれでも良かったかもしれない。
30年前、日本の物価はまだまだ諸外国に対して高く購買力があった。2000年においては一人当たりのGDPも世界第2位だった。目線が国内に行くには当然の経済力があった。しかしその力はもはや日本にはない。そう判断する保護者が増えるのも当然だろう。
グローバルとテクノロジーそしてサステイナブル。これらへの準備を教育的に行う事が子供を将来幸福にするか否かを分けると言われている。そのことにいち早く気付いた層は、年間900万円の教育費を高いとは感じてない。同様にそのような気運をいち早く捉えたイギリス系ボーディングスクールはハロウ安比校をはじめ、来年2023年にはラグビースクールとメルバーンカレッジ、その後も続々と日本での開校を狙う。
日本国内ではグローバル教育もテクノロジー教育もままならないと感じている保護者にとっては、渡りに船だろう。日本は経済的には既に開国必至の状況にある。いよいよ日本の教育界も世界を視野に入れた教育を提供できないと、今後ますます優秀な児童生徒が海外系の教育機関に出ていくことは避けられない時代になったと言えそうだ。
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鏑木 稔 Global Learner’s Institute 代表 Global時代の到来を見定め、7年前に普通の小学生でも英検2級に合格する英会話スクールを開校。今年開校したハロウスクール安比校を始め、イギリスの現地ボーディングスクール(中高の寄宿型学校)やアメリカ、カナダ、オランダなどのボーディングスクールに合格者を出し、海外系のボーディングスクールに進学を希望する家庭が多く集まる。今年は23年に開校するマルバーンカレッジやラグビースクール、スイスのロゼ、イギリスの現地ボーディングスクールに進学を希望する生徒達が集まっている。芸能界、政財界のご子息も通う。かたわら、中高の民間人校長も経験し、私学の教育改革にも関わる。
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編集部より:この記事は「シェアーズカフェ・オンライン」2022年12月26日のエントリーより転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はシェアーズカフェ・オンラインをご覧ください。
提供元・アゴラ 言論プラットフォーム
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