イングランド2部(英2部)のチャンピオンシップ第27節が日本時間1月14日に行われ、MF三好康児が所属するバーミンガム・シティはホームでスウォンジー・シティと対戦した。バーミンガムはマンチェスター・ユナイテッドのレジェンドでもあるウェイン・ルーニー氏を今月2日に解任しており、8日に就任したトニー・モウブレイ新監督の初陣となった。
20位に沈むバーミンガムは、スウォンジーに2度リードされるも後半アディショナルタイムに同点弾を決め、初のモウブレイ体制下で勝ち点1をもぎ取ることに成功した。この記事では、三好選手と現地イギリス人記者へのインタビューを通して、わずか約3ヶ月の短命に終わったルーニー政権の裏側とモウブレイ新政権について解説していく。
ルーニー監督就任から解任まで
2023年10月9日、バーミンガムはそれまでチームを率いていたジョン・ユースタス監督を解任。翌11日にウェイン・ルーニー氏の監督就任が発表された。この時点でバーミンガムは、プレミア昇格プレーオフ枠の6位に位置しており良好な成績を残していると思われていただけに、ユースタス氏の解任は現地サポーターやメディアの間でも驚きを持って報じられ、引き継ぐルーニー氏に対して懐疑的な声も小さくなかった。
ルーニー氏は就任時、バーミンガムに「勝利のカルチャーを根付かせる」と宣言し、パス重視のポゼッションサッカーへの移行を試みたものの、チームは突然のスタイル変更から不調に陥ってしまった。結局、ルーニー政権下では15試合中2勝9敗4分と成績が振るわず、順位も20位にまで急降下した。今年1月1日に行われたチャンピオンシップ第26節で、リーズ・ユナイテッドを相手にアウェイで0-3と完敗。これが決定打となり、翌2日にルーニー監督の解任が発表される展開となった。3年半の契約で就任していたことから、クラブはルーニー氏に長期的な指揮をさせるのではと予想されていた。しかし、首脳陣がたった3ヶ月で同氏との決別を決めたのは、想定以上の成績悪化だったとも考えられる。
現地紙『バーミンガム・ライブ』でシニア・フットボール・ライターを務め、長年バーミンガムをはじめ英2部のサッカーを取材しているアレックス・ディケンズ記者は「まさかこのタイミングで解任するとは思わなかった」と驚きを隠さなかった。「就任から9敗を喫しての解任は歴代でも最悪の成績ではある。サポーターなどからの批判も当然理解できるが、正月のリーズ戦で高まったサポーターの不満で、翌日に解任したのは非常に早い展開でびっくりだ。首脳陣はできるだけ延命させて様子を見るのだろうと思っていたが、たった15試合での解任には驚かされたよ。しかし、ルーニー監督のもとではこれ以上改善されないと判断したことについては、いい兆しだったと思う」と述べた。