■1430年、滅びの年
25年以上も間、世間に知られることなく洞窟で畜生的な生活を送ってきた一族だったが、家族が増えるにつれて食料である人を殺す回数が増え、地区では「人食い族がいるようだ」と噂が流れるようになった。村の外の荒野に悪の野獣が生息しているという噂が流れたり、宿屋の主人が金目当てに客を殺してるという噂が流れ、リンチを恐れた主人が夜逃げするということもあった。また、スコットランドの幻獣で川に住むと伝えられている水の精ケルピーが、人を食らっているのだと信じる者も多かった。
25年の間に誰にもばれることなく1,000人以上を殺してきたと伝えられるソニー一族だったが、1430年頃、とうとうしくじってしまう。「簡単に殺せる」と狙いを定めた馬に乗り移動中の夫婦のうち、夫の方が刀やピストルなどの武器を所持しており、彼らにはむかってきたのだ。妻の方はすぐに馬から引きずり下ろされ、腹をすかせた者によりその場で体の一部を食べられ絶命したが、夫は足などをかじられながらも必死に抵抗して逃げることに成功。その直後、集団が歩いてくるのを見て、一族は妻の遺体を放置したまま洞窟に逃げ帰った。夫は集団に助けを求め、妻の遺体を地元の役所に運び「人食い族に教われ、妻が殺され食べられた」と訴えた。驚愕した役所は国王に報告。スコットランド国王ジェームズ1世は、すぐに400人の武装した兵を現場に向かわせ、大規模な人食い族ハンティングを行った。