一人飲みするには十分なメニューラインナップ
ワインは、特有の渋みと鼻を突き抜ける香りが心地よく、飲みやすい仕上がり。若干香りが薄く感じたものの、100円で飲めるのであれば申し分ないクオリティだった。
ほんのり肉の厚みを感じられる薄さにカットされた生ハムは、ソフトな口当たりで舌触りもなめらか。サイゼリヤでは、熟成期間が9カ月と短めで軽い食感の生ハムを採用しているため、食感がよく非常に食べやすかった。味はやや強めに塩気を感じ、ワインとぴったりよく合う。オリーブオイルを回しがけすると、フレッシュな口当たりに変化するので、より肉の旨みを堪能できた。

柔らか青豆の温サラダは、豆にくさみや苦みはなく、甘味としっかりと味わえる仕上がり。そしてペコリーノチーズと半熟卵が絡むことで、塩気とコクのあるバランスの取れた味を楽しめる。豆の食感も噛めばプチッとはじける絶妙なゆで具合であり、たまらなかった。
続く辛味チキンは、一口食べるとジューシーな肉汁がジュワっと口の中に広がり、ワインとの相性は抜群。ほんのり辛さがピリッとくるが、刺激自体はあくまで優しめで子どもでも食べられそうな味わいだった。また噛むと肉がすっとほぐれ、食べやすかったので、手軽に味わえる晩酌のお供としては最適かもしれない。


小さめのエビフライが数本入ったポップコーンシュリンプは、揚げたての衣のサクッとした食感がクセになる逸品。ほどよい酸味が効いたサイゼリヤドレッシングにディップすることで、まろやかな辛みかつコクの感じられる味わいに変化。店内にある「ホットソース」をかけるとさらに刺激的な辛みが楽しめ、お酒が進むのでおすすめである。

最後のソーセージピザだが、とろりと伸びる濃厚なチーズと薄くカットされたソーセージの旨みがガツンとくる味わいで美味。トマトペーストは薄めで、トマト自体の味が微妙だったのは残念だったが、肉々しいジャンクなピザを食べたい人にはもってこいの一品だと感じた。何よりこのクオリティを400円という価格で提供できる、コストパフォーマンスの高さには感嘆するばかりだ。
気になる総額だがお会計は2020円という破格の安さ。これだけの量を頼んでこの安さなので、同じぐらいのボリュームを頼むのならば、普通の居酒屋に行くよりも安く済むと感じた。サイゼリヤのメニューは、一品一品のボリュームがそこまでないので、ちびちび飲みながら食べるには十分だと思われる。それこそボトルワインを頼んで、料理を少しずつ嗜む、といったスタイルだと長い時間一人飲みを堪能できそうだ。
そして居心地についてだが、時間帯と案内される席によって、かなりの好みが分かれそうだ。今回は夕方17時頃に入店し、ボックス席に案内されたが、そこまで混雑しておらず、一人飲みをしていても特に周りに見られている感覚はなかった。だがピーク時となる18~20時の間になるとより客は増えるだろうし、周囲の目も気になるかもしれない。またサイゼリヤには、1~2人用の座席がない店舗もあるので、筆者のようにボックス席を一人で過ごすこととなると、気恥ずかしく感じる人もいるだろう。
感想としては、一人飲みするには十分なお酒と料理のラインナップが揃っており、価格も安いのでリピートしたくなる気持ちもわかる、といったところだ。時間帯や席にも左右されるものの、総合的な満足度では下手な居酒屋よりも断然高かった印象だ。