今年の家計負担は+2.9万円/人程度
以上を踏まえれば、今年のインフレ率も低下トレンドを続ける可能性が高いだろう。というのも、足元のインフレ率は約3分の2が食料品の値上げによるものであり、今後も小麦や海産物価格に加えて足元で前年比4割以上のペースで上がっている宿泊費を中心に伸び鈍化が期待されるからである。

実際、日経センターが公表している最新12月分のESPフォーキャスト調査によれば、CPIコアインフレ率は今後も伸びが鈍化する見通しとなっている。持続的なインフレ率の維持にはディマンドプルインフレが必要であるが、24年の世界経済は一段と減速が強まる可能性が高く、そもそも日本は海外と異なり依然として需要不足が続いている。このため、24年以降はコストプッシュインフレ圧力の低下により日本のインフレ率は低下を続け、エコノミストコンセンサスによれば、25年1-3月期のコアCPIのインフレ率は+1%台まで下がる見通しになっている。
なお、ESPフォーキャスト通りに今後も消費者物価が推移すると仮定すれば、2023年のインフレ率+3.1%に対して2024年のインフレ率は+2.4%に鈍化することになる。そして、家計の一人あたり負担増加額は2023年に前年から+3.7万円(4人家族で+14.9万円)増加した後に、2024年はそこから+2.9万円(4人家族で+11.4万円)増加すると試算される。
一方で、24年は一人当たり4万円の定額減税が実施される。このため、平均的家計ベースではインフレによる負担増加分を定額減税分で十分賄える計算となる。しかし、民間エコノミストのコンセンサスよりもインフレ率が上振れするようなことになれば、家計の負担はさらに増えることには注意が必要であろう。
(文=永濱利廣/第一生命経済研究所経済調査部首席エコノミスト)

提供元・Business Journal
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