ワークサンプルのデメリット
――ワークサンプルのデメリットはありますか。
安藤 まず時間と手間がかかることです。採用人数が多く、大量の応募者をふるいにかけなければならない場合には向いていません。三井住友海上火災では企画職の採用を対象にして、ビジネスコンテストのようなプロジェクトだったのでうまく運営できたのだと思います。その一方で少数精鋭の採用には適しています。実際の仕事を通じて評価するので、採用してから、あるいは入社してから互いに「こんなはずじゃなかった」と困惑するミスマッチを回避しやすくなります。
――三井住友海上火災の場合、あとで学生の性別を知ったら想定とは違ったという例もあったそうですが、性別、学歴、出身地などの属性とは、そもそも何なのかという問いにも行き着きますね。
安藤 採用における属性とは先入観であり、属性をもとに評価すると「一流大学出身者は有能な社員になる」というように、応募者の実像にバイアスがかってしまいます。三井住友海上火災のDAO型採用で想定と違った属性だったことは、担当者が属性は先入観にすぎないということに気づいて、大きな意味があったのではないでしょうか。