インターネットに接続できるおもちゃが増えている。子供向けのおもちゃがインターネット上の脅威にさらされるということでもある。
子供用スマートウォッチとは?
カッコよさや可愛さを含んだガジェット感にあふれた時計型のおもちゃは、昔から子供向けのおもちゃとしては定番として存在している。そして子供用のおもちゃとしてスマートウォッチが登場している。
性能的には「大人向け」と何ら変わらず、ケースやバンド、UIの部分で子供向けのカラフルでポップなものが使われているだけである。子供が自分のお金でスマートウォッチを買う事は難しいので親が買い与えることになるが、親が子供の安全を考慮し買い与えるという目的があるため、理にかなった購入理由と言える。
ドコモとauは、それぞれ子供向けに特化したスマートウォッチ(ドコモは「ドコッチ」、auは「マモリーノウォッチ」)を開発し販売しているが、そのどちらにも共通するのはスマートロケーターの機能、つまりGPSなどを使い子供がどこにいるかを把握する機能を持っている点である。
また各種センサーを内蔵し、身に付けている子供の活動状況や周りの環境(気温など)をモニタする事ができ、auのマモリーノウォッチでは携帯電話と同様の通話機能を持つ。どちらの製品もネットに接続する形で見守り機能などを提供していると言えるが、
ドコッチのOSはBREW、マモリーノウォッチのOSは非公表となっている。したがって、スマートウォッチ単体でのネットセキュリティとしての安全性は比較的高い。BREWは採用例が相対的に少ないため、クラッキングの標的にされる危険性が低く(もちろんゼロではない)。
またOSが非公表の場合は標的になる可能性はさらに低くなるからである。問題はスマートウォッチと接続するためのアプリを入れる側である。Android、iOS、Mac、Windowsすべて用意されているため、それぞれのOSでさらされる脅威を考慮する必要がある。
仮に接続アプリが入ったデバイスがクラッキングされた場合、防犯目的のために子供に持たされているものが逆に場所を特定するために悪用されたり、親を装って子供のスマートフォンにメッセージを送り、子供をだましたりと言ったことも理論上は可能となる。この場合、スマートウォッチの危険性を論ずる前に、むしろアプリを入れているデバイスのセキュリティを考慮する必要がある。
ネットに接続しないおもちゃはクラッキングされようがないが……
スマートフォンにアプリを入れて、それと連動する形のおもちゃも増えている。例えば乾電池型のMaBeee(マビー)は、乾電池を使うおもちゃにはすべて使うことができ、出力を変化させることによって動くおもちゃの速度を変えるなどして遊べるスマートガジェットだ。
ネット接続できるトイカメラなどは定番として比較的昔から存在し、簡易的なドローンをスマートフォンから操作できるものも登場している。そのすべてに言える事は、「ネット接続しない限りは、クラッキングされる心配はない」という点である。スタンドアローンのPCがネット経由ではクラッキングされる心配がないのと同様である。もちろん物理的に盗難されるなどの危険性は考慮する必要があるのは、スタンドアローンのPCと同様である。
ただし、最近のおもちゃの特徴としては、「それ単体ではネット接続機能を持たないが、スマートフォンにそれをコントロールする機能がある」ものが多く、おもちゃとしての可能性を大きく広げている点である。こうなると、先述の通り「おもちゃはクラッキングされにくいが、それをコントロールするものがクラッキングされる」という危険性を考慮しなければならない。
おもちゃだから特段に気を付けるという話では無く、おもちゃとそれに繋がるPCやスマートフォンのセキュリティに注意払い、「一体のもの」として捉えるべきである。
講じるべき対策は?
まずおもちゃの機能をキチンと把握しておく必要がある。ネットに接続してできる機能はそれこそおもちゃによって千差万別のため、把握していなかった機能を悪用されるという事が無いようにしたい。
基本的にはおもちゃなのでできる事は限られるように思えるが、油断は禁物である。またパスワードが設定可能な物であればしっかり設定し、アプリからコントロールできるものはアプリを入れたデバイスのセキュリティ対策を取るといった事も重要である。
またアナログではあるが、自分のおもちゃに名前と住所を書く、という整理整頓という教育の観点から行われていることは、そのおもちゃが盗まれた場合の危険性を考えると、あえてしないほうが良いと思われる。
とはいえ、この手のガジェットは、子供は(場合によっては大人も)大好きであり、セキュリティ対策を正しく取り、恐れることなく親子で楽しみ活用していきたい。
文・信濃兼好(メガリスITアライアンス ITコンサルタント)/ZUU online
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