ビルイン型店舗の再開、高価格帯メニューの販売

 人流がコロナ禍以前に戻りつつあることから、松屋フーズHDの営業利益は回復傾向にあるが、回復を待つだけでなく並行してさまざまな施策を講じている。

「短期的な成果につながりやすい施策として、駅前のビルに入居する『ビルイン型店舗』の再開があります。ビルイン型店舗は、駅を利用する際の衝動的な来店によって成り立っていましたが、コロナ禍により駅利用者が減少したことで、需要も減少しました。現在は、インバウンドによる訪日外国人観光客の増加を見越して出店を再開しているようです。また、中長期的な施策として、ロードサイド型店舗の比率を向上させることを目指しています。これは、コロナ禍と同じようなパンデミックが生じた際のリスク分散にも繋がってきます。

 さらに、松屋・松のや(とんかつ専門店)・マイカリー食堂(カレー専門店)の松屋フーズ3業態複合店舗もオープンしています。これにより、一店舗で複数のメニューが注文可能となり、来店頻度の向上を狙っていると考えます」

 23年11月28日には期間限定で、牛丼チェーンのなかでも強気の価格のメニュー「ビーフ100%ハンバーグ定食(1,090円 税込)」が導入されている。これには、どのような意図があるのか。

「今後は、最低賃金の引き上げとともに人件費の高騰が予想されており、客単価を上げるために、松屋にかかわらず業種業態問わず、プレミアムな予算帯へのチャレンジが進んでいます。今年は丸亀製麺の『鴨ねぎうどん 並盛』(820円)やモスバーガーの『一頭買い 黒毛和牛バーガー シャリアピンソース 〜トリュフ風味〜』(860円)も話題になりました」

 23年はWHOが新型コロナ「緊急事態宣言」の終了を発表し、人の流れも大きく変わった。今後はインバウンドの需要増加も予想され、売上にも影響を及ぼすだろう。24年はどのような年になるのか。大手牛丼チェーン3社の競争から、今後も目が離せない。

(文=福永太郎/編集者・ライター、協力=堀部太一/外食・フードデリバリーコンサルタント)

提供元・Business Journal

【関連記事】
初心者が投資を始めるなら、何がおすすめ?
地元住民も疑問…西八王子、本当に住みやすい街1位の謎 家賃も葛飾区と同程度
有名百貨店・デパートどこの株主優待がおすすめ?
現役東大生に聞いた「受験直前の過ごし方」…勉強法、体調管理、メンタル管理
積立NISAで月1万円を投資した場合の利益はいくらになる?