全国47都道府県からなる日本。各地域ならではの風習や文化が多数存在しますが、先日ネットを賑わせていたのは、九州地方における駐車場内の表記について。
いくつかの駐車ますの路面に書かれているのは、「圣」という見慣れない文字。あなたにはこれが何を意味するか、わかりますか?
早速ですが正解をお伝えすると、これは「軽自動車用駐車スペース」の意味。通常は「軽」の字が書かれていますが、主に九州地方では「車(くるまへん)」が省略された略字で記載されているのです。
鹿児島県在住の筆者にとっては当たり前すぎる光景。念のため編集部でもたずねてみたところ、やはり関東圏では見かけないらしい。過去には熊本県での事例がテレビでも取り上げられたことがあるようですが、熊本に限らず鹿児島、大分、福岡など九州広範囲で見ることができます。ただし場所によっては「軽」で書かれていることももちろんあります。
しかしながら、「圣」だけでは何の意味なのか分からない……という方もいるでしょう。この表記に問題がないのか調べてみたところ、国土交通省の定めではあくまで「駐車ますの長さや幅員」の規定が設けられているのみとなっており、表記については特に記載なし。
つまり「ここは軽自動車ですよ」と伝わりさえすれば、文字については問わないもよう。言われてみればたしかに「K」と書かれている駐車場を見たことがあります。これは意外な事実でした。
「圣」と表記されるようになった理由については諸説あるようで、正確な理由については不明。有力であるとされているのは、駐車場にラインを引くのに「圣」のほうが省スペースで、なおかつ作業時間や費用の節約にもなるという切実な事情。
この略字を用いる方法は、鉄道などの古い看板でもたまに見ることがあります。経由→圣由と書く、経の「糸(いとへん)」を省略したパターン。「圣」のほうが簡単に書けることはもちろんですが、略字の場合「視認性」が高まるという利点があります。車や鉄道という交通に関わる場所で採用されているのは、そうした点も理由の一つなのかもしれません。
<参考・引用>
国土交通省「駐車場設計・施工指針について」
(山口弘剛)
提供元・おたくま経済新聞
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