配送料は100円程度、400~800円程度の注文をこなす商用化実験

美団は、日本でのウーバーイーツのようなデリバリーサービスを運営している。配送員の手数料は通常、100円(5元)程度だ。今回のドローン配送も同じ水準で行っている。一般の注文と同じく美団のスマホアプリで注文が行われ、通常アプリ上で配達員が配送する様子を確認できるところで、ドローン配送のサービスではドローンが飛んでくる。

発送されてくるのはスターバックスやサブウェイ、タピオカミルクティーなどの一般的な飲食物だ。飲食店が食事を作り、それを配達員が受け取って「配送中」となる一連の流れの中で、配送員の役割がドローンに置き換わっているというイメージである。

なお現在のオペレーションではかなりの手作業が発生しており、人間の配達員よりもコストが安くなるのはだいぶ先になりそうだが、人間の配達員と同じ水準の価格にしているのは、技術のデモンストレーションに終わらない、実用化に向けた実証実験ということだろう。

発着所への配送やバッテリー交換など、まだまだ手作業も…

同サービスのスマホアプリ上では、複数の店から買い物ができるように見えるが、実際には配達員がドローンの“発着所”まで運ぶ必要がある。つまり飲食店のオペレーションは従来と変わらず、店頭で美団の配達員に飲食物を渡す必要がある。そのあと配達員がドローンの発着所まで運び、ドローン配送用のボックスに入れ、重さを測ってからドローンにセットして、スマホアプリから離陸動作をおこなう。

また、配達を終えて戻ってきたドローンが着陸したあと、2つのバッテリを回収して交換するのも配達員の仕事だ。

ドローンの飛行は離陸から着陸、発送基地に戻ってきてくるところまで全自動化されているようだが、配達員の役目はまだまだ多く、現在この配達員は美団のエンジニアが行っているようだ。大規模に自動化されて採算が合うようになる正式サービスのリリースはだいぶ先ということだろう。

発着所自体が宣伝媒体に

ドローンの発着所は多くの人が訪れるショッピングモールのデッキにあり、地面に巨大なQRコードが設置され、ドローンが何台も飛んでいるので非常に目立つ。

発着所にはドローン配送実験の説明や、どこで注文できるか、スペックなどが書いてあり、頻繁に発着するドローンの姿と合わせて、絶好のアピールになっていた。

なお飲食店は発着所の近くが選ばれているので、省力化にはなっている。今後の拡張として、同じ発着所から複数のステーションに対応するのも容易だろう。このように大々的にアピールしながら実験が行えることは、ドローン配送の技術がかなり安定・成熟して、多くの人目に触れさせる段階に来たことを示している。