現場に来た人のキャラクターが出ていればいい

――『電エースカオス』の新作パートについて、撮影裏話などがあれば教えてください。辛かったことはありますか?

河崎:辛かったことはあるわけないじゃないですか。お金をかけられないから1本あたり30分を3日で撮ります。そういう職人技で撮っていると、香盤表的にトラブルは有りようがないんです。ダメなところも使っちゃうから。

 たとえば、タブレット純さんが特訓するシーンで、ブルース・リーマニアの森累珠さんが出てきます。このとき、森累珠さんのヌンチャクがタブレット純さんに当たりましたが、「これでいいや」ということで使いました。

――あれは狙ってやっていたわけではないんですね。

河崎:狙っていませんよ。普通の監督だったらまた別日でやり直しとなって、どんどんお金が増えていきます。そこを臨機応変に考えて撮るのが俺の世界なんです。役者の演技が素晴らしい映画もたくさんあるけれど、俺の映画はお笑いなので、現場に来た人のキャラクターが出ていればいいんですよ。

――トカナ読者に向けて、『電エース』撮影中のオカルト体験があれば教えてください。1999年に日本テレビの番組でエリア51に行ったとき、UFOに遭遇したそうですね。そういう出来事が撮影中に起こりませんでしたか?

河崎:『電エース』の撮影中にUFOが飛んでくるようなことはなかったけれど、UFOは存在します。いしだ壱成たちとエリア51に行ったときにUFOを見て超怖かった。でも、東京ではそういう美味しいことは起きないんですよ。エリア51まで行かないと。

 UFOは物理的な現象で、本当に謎の物体があるということが、フェイクも含めておもしろいですね。

 一方で、俺は幽霊に否定的なんですよ。そういう世界はあると思うけれど、チャンネルが合った人が見えるだけで、俺は見たことないですね。昔、森田健作がハワイで幽霊を見たとき、その幽霊に「何だ、君は?」と怒ったんですよね。そういうもんでしょ? 自分が殺人などを犯していなければ、どうして幽霊が出てくるのか?

 死んだ人が幽霊になって出てくるというのは、半分は幻覚なんですよ。悪いことをしていなければ出てきません。だから、撮影現場での霊現象はありません。