「わかる奴だけわかればいいや」という開き直り
――『電エース』シリーズも2024年で35周年ですね。
河崎:スポンサーがいてくれるからありがたいんですよ。『電エース』はほぼクラウドファンディングだけれど、ちゃんとしたスポンサーが付くときもあります。何を勘違いしたか、「800万出す」というスポンサーが出てきたときは、地域ロケに行ったりして、それなりのものができました。いろんなことをやって、各所を騙しているわけですよね。
――電エース30周年のときは「電エースまつり」を開催し、今回もポスターなどに「35周年」というロゴが入っています。5年周期で何か大きなことをしているんですか?
河崎:そうですね。ただ、「35周年」のロゴについては、昭和42年の「東宝35周年記念」のパロディーになっているんですよ。『キングコングの逆襲』とか、当時の映画にもこういうロゴが入っています。オタクはこれを見るだけで笑うんですよね。

――元ネタを知っていると、もっと楽しめる映画なんですね。
河崎:元ネタについてはいつもそうなんです。これだけ生きていると、いろんな蘊蓄が多すぎて、「出典がわかる奴だけわかればいいや」という開き直りで撮っています。もうオタクしかわからない。
NHKで放送されている『TAROMAN』の監督が対談で「電エースを意識した」と言っていました。短い尺の中でパッパッパッとやるところで、「電エースと似てはいけない」と気を付けているそうです。『TAROMAN』も、岡本太郎がモチーフで、相当飛ばしていますよね。ただ、NHKの番組だから小さい子供がファンになるんです。
――オタクの方々のお子さんが電エースファンになることもあると思います。
河崎:そうなったら嬉しいです。『それいけ! 電エース』をキッズステーションで放送したことがあります。それを子供時代に観ていた人がルナベース(薬師あいロードにある河崎実監督プロデュースのイベントスペース)に遊びに来て、「観ていましたよ」と言っていました。電エースを長くやっていると、こういう珍しい人がたまにいるんですよ。