インサイトとニーズの違い
「インサイト」と「ニーズ」は同じ意味で使われることの多い言葉ですが、実は意味が異なります。
インサイトは日本語で「洞察」「見識」などの意味を持ちます。マーケティングにおいては、消費者の隠された心理や潜在意識を表す言葉として使われます。消費者自身も気づいていない動機や本音を意味する際に使われる言葉です。
一方、ニーズは日本語で「需要」「欲求」「必要」などの意味を持ちます。インサイトが潜在意識であるならば、ニーズは顕在意識。消費者は自身のニーズに気づいており、インタビューやアンケートで明確に回答することができます。
インサイトもニーズもマーケティング戦略を策定するうえでは大切な要素のひとつです。しかし、消費者の顕在化した意見だけを商品開発に取り入れても、なかなか大きな成果は出せません。インサイトとニーズの両方を把握する必要があります。
インサイトを掴むための調査方法
消費者のインサイトを掴むにはどのような調査方法があるのでしょうか。分析を行うには、定量・定性の両方の情報を収集することが大切です。インサイトを掴むのに活用できる調査方法を5つご紹介します。
アンケート・インタビュー調査
インサイトを掴むための調査方法のひとつとして、アンケートやインタビュー調査があげられます。アンケートは定量的なデータを、インタビューは定性的なデータを集めるのに便利です。
インタビュー調査は、個人インタビューとグループインタビューの2種類があります。特にグループインタビューは周りに合わせた発言をしやすい傾向にあります。表面的なインタビューにならないように、調査対象者の本音を引き出せるようなインタビュー内容を意識しましょう。
ソーシャルリスニング
ソーシャルリスニングは、X(旧Twitter)やInstagram・FacebookなどのSNSに投稿されている消費者の声を調査し、インサイトを掴む方法です。ハッシュタグ検索やキーワード検索を利用して、特定の商品やブランドに対する消費者の本音や意見を収集します。
ソーシャルリスニングにより消費者のリアルな声を集め、投稿の傾向を分析することで消費者インサイトの手がかりをつかめます。
フレームワーク
インサイトを掴むためにフレームワークを活用するのもおすすめです。よく使われているフレームワークには「カスタマージャーニーマップ」や「共感マップ」などがあります。
カスタマージャーニーマップは、消費者の購買プロセスを可視化する際に使われるフレームワークです。一方、共感マップは消費者が置かれている状況や思考を図でまとめる際に使われるフレームワークです。
ユーザー行動の観察
インサイトを掴むには、ユーザーの行動を観察することも大切です。オンラインでの行動観察と、オフラインでの行動観察の2種類があります。
オンラインでの行動観察は、UI・UXテストが一般的です。オフラインでの行動観察は、実際に店舗に足を運び消費者の買い物の様子を観察したり、ターゲット層である消費者の日常生活や行動を観察したりする方法があげられます。
オンライン・オフラインのどちらも消費者の行動の理由を考えながら観察を行うことで、消費者も気づいていない潜在意識を見つける手がかりを得られます。
コラージュエクササイズ
コラージュエクササイズは、消費者の潜在的な欲求を把握するのに役立つインサイト調査方法です。関連する数百枚の写真を用意し、与えたテーマに近いイメージの写真を選んでコラージュを作ってもらいます。複雑化・多様化している消費者行動の分析や潜在意識を探るのに役立ちます。