企業が意図せずとも、ステマをしてしまうリスク

ステマをしてしまい消費者庁から措置命令が出されると、その内容が公開されるため企業イメージに悪い影響を与えます。意図せずステマをしてしまうリスクを避けるため、全社でステマに対する理解を深める機会を設けましょう。

意図せずステマをしてしまう可能性があるのは、従業員のSNSです。企業の関係者であることを伏せ、第三者であることを装って自社製品やサービスを宣伝してしまうと、ステマ法の規制対象となる可能性があります。

従業員のSNS利用ルールを策定しておくことで、こうした意図しないステマのリスクを回避することができます。

企業がステマ対策のために行いたい3つのこと

ステマ法規制に違反しないようにするには、徹底したステマ対策を行うことが大切です。全社や第三者への周知はもちろんのこと、宣伝するプラットフォームが決まっている場合はプラットフォーム側に搭載されている広告コンテンツ用機能を使うのも、リスクを避けるひとつの方法です。企業がステマ対策のために行いたい3つのことを解説します。


企業がステマ対策のために行いたい3つのこと



  • 1.ステマの概念やリスクを理解し、全社に共有する

  • 2.広告・PRの表記を明確に行うよう、契約書内にも記載する

  • 3.SNS投稿をする際は、プラットフォームの機能を利用する



1.ステマの概念やリスクを理解し、全社に共有する

ステマ対策のために行いたい1つ目のことは、ステマの概念やリスクを理解し、全社に共有することです。

ステマ法規制が施行されたことで、どのような行為がステマに当てはまるのかが明確になりました。事業者自らの表示や、事業者が第三者になりすまして行う表示など、明らかにステマ法の規制対象であることがわかる内容から、明示してはいないけれど第三者に対して好意的な表示をするよう示唆する内容まで、ステマ法の対象範囲が消費者庁のページに記載されています。

改めてステマの概念を理解すると共に、対象となる行為や万が一ステマ法に違反してしまった場合の罰則など、全社で前提となる知識を共有し、ステマをしてしまうリスクを軽減しましょう。

2.広告・PRの表記を明確に行うよう、契約書内にも記載する

ステマ対策のために行いたい2つ目のことは、広告・PRの表記を明確に行うよう、契約書内にも記載することです。

ステマ法規制では、商品やサービスに関する口コミを投稿した投稿者ではなく、口コミ投稿を依頼した事業者が規制の対象となります。事業者側で十分に気を付けていたとしても、依頼を受けた第三者が広告やPRの表記を行わなかった場合、その責任を負うのは事業者です。

そうした事態を避けるためにも、万が一ステマ投稿となってしまった際に企業に発生した損害を最小限に収めるためにも、依頼を行う際には広告・PRの表記を行うことを契約書内に記載しておきましょう。

3.SNS投稿をする際は、プラットフォームの機能を利用する

各種SNSを使って商品やサービスを宣伝する場合は、プラットフォームに搭載されている広告コンテンツ用機能を利用しましょう。意図せずステマしてしまうリスクを避けるためにも必要なことです。

Instagram

Instagramで宣伝や広告を投稿する際は、Instagramに搭載されている「ブランドコンテンツ広告」を利用しましょう。

ブランドコンテンツ広告はクリエイター側のアカウントから配信され、ブランドとクリエイターの双方のアカウントの下に「広告」というワードが表示されるほか、キャプションのトップに「XXX(ブランド名)とのタイアップ投稿」という表記が追加されます。

このブランドコンテンツ広告は、フィードとストーリーの両方で利用できます。Instagramが推奨している機能です。

参考:Meta「Instagram、ブランドコンテンツ広告の提供開始を発表」

X(旧Twitter)

X(旧Twitter)には、第三者が投稿する内容が広告であることを示す特別な機能は搭載されていません。インフルエンサーやタレントなどに投稿を依頼する際は、必ず「#PR」「#広告」などのハッシュタグを付けてもらいましょう。

X(旧Twitter)には、オーガニック投稿を広告として宣伝する機能が存在します。この機能を使えば、第三者に依頼したPR投稿を使ってX内で広告を回すことができます。その際、投稿下に広告投稿であることがわかるような表示が付きますが、投稿内容にも「#PR」が入っているとより安心です。

YouTube

YouTubeには、事業者が第三者に依頼した動画に広告表示を付ける機能が存在します。

その機能を利用すると、動画視聴中に「このチャンネルは、動画制作のために金銭または無料のものを受け取っています」または「プロモーションを含みます」という文章が表示され、動画の視聴者に対して、宣伝・広告であることを容易に示すことができます。

参考:Google「お子様やご家族向け: 有料プロダクト プレースメント、スポンサーシップ、おすすめ情報とは」

TikTok

TikTokには「コンテンツ情報開示」という設定が存在します。この設定をオンにすると、商品やサービスを宣伝するコンテンツであることをわかりやすく示せます。

自社製品を自ら宣伝する場合は「プロモーションコンテンツ」というラベルが、事業者から依頼されて宣伝する場合には「有償パートナーシップ」というラベルが表示されます。

参考:TikTok「ブランド、製品、またはサービスの宣伝」