「レオパレス21の物件は評判が悪い」。ネット上で賃貸物件情報を調べているとき、このような情報にたどり着いた人もいるのではないだろうか。レオパレス21は、アパートの建築請負・賃貸事業、リゾート施設や介護施設の運営を展開する大手不動産企業だ。主に単身者向けの物件や、短期滞在できるマンスリーマンションを多く取りそろえている。物件によっては、家具・家電付きのオプションも存在し、進学や就職などの機会で新生活を始めやすいことで知られる。
しかしながらレオパレスの物件は、ネット上ではネガティブな口コミが投稿されることも少なくない。「壁が薄くて隣室の生活音が聞こえる」「家賃が高い」「退去時にちょっとの汚れで多額の清掃費を請求される」「備え付きのネット回線『レオネット』が遅い」「エアコンの型によっては3時間で切れる」といった声が見受けられる。
同社の公式サイトによれば、レオパレスの管理する物件は56万件を超えており、居住者もかなりの人数に上る。したがって投稿される口コミも増える分、ネガティブな意見も悪目立ちしてしまうのかもしれないが、それでも全体的に不平・不満を募らせるコメントが多い印象だ。なおレオパレスは、2018年に同社が施工した1万5000棟以上の物件の天井や壁に、防火性などを高める部材が未設置だったという施工不備問題が発覚し、大きな非難を浴びたことも記憶に新しい。
こうした物件に対するネガティブな声に対し、レオパレスはどのような見解を示すのか。同社の広報に取材した。
騒音トラブルはあるが物件の問題ではない?
まずネット上の口コミに関するレオパレスの基本的な見解について聞いた。
「弊社としては、自社物件に対するネット上のネガティブなご意見につきまして、重く受け止めております。一方で弊社の管理する物件の種類、構造は多種多様でして、寄せられる口コミの内容がすべての物件に当てはまることはありません。したがって、どの物件にどんな問題があるのかを具体的に示してもらわなければ、回答しかねることはご了承くださいませ。こうした前提を踏まえたうえで、よくある口コミの回答についてお話しさせていただきます」(レオパレス広報)
当然だが木造、鉄骨、鉄筋などの構造、間取り、家具・家電付きなどのオプションというように物件によってその性質はまるで異なる。ネット上の口コミは、どんな種類の物件かまで言及していないものが少なくないので、レオパレスすべての物件が悪いと決めつけるのは早計だろう。そのうえで、ネット上で特に見かけることが多い口コミの見解について個別に聞いていこう。まずは「壁が薄くて隣室の生活音が聞こえる」という口コミについて。
「過去に弊社で入居者にアンケートをとったところ、6割近くの方から部屋の防音性について不満を挙げる回答がございました。弊社の物件では建築基準法に則り、周波数帯音が500Hzに対し、40db以上の遮音性能がある仕様としております。そして2012年からは、さらに上回る基準の遮音性能を搭載しています。もちろん不満のご意見について重要課題として捉えつつも、『壁が薄い』といった物件の構造の理由で騒音トラブルになる、という認識はございません」(同)
ちなみに40dbの目安は、静かな昼の住宅街、図書館程度で普通に生活する分には問題ない基準だという。入居者からは騒音に対するクレームが過半数となったものの、なかには「隣人の生活音が大きすぎる」といった声も含まれているので、物件だけに問題があるわけではないだろう。
次に「家賃が高い」という声について。
「エリア的な問題や部屋の広さなどによって賃料は変化しますが、基本的に弊社では第三者機関による相場賃料をもとに、当社物件の付加価値を加味したうえで賃料を決めております。付加価値のなかには、家具・家電付きというオプションも含まれているので、もしかしたらそうした物件ですと高いという認識を抱かれてもおかしくはないかもしれません」(同)
ちなみに備え付きの家具・家電は、無料でメンテナンスを実施しているそうだ。
続いて、「退去時にちょっとの汚れで多額の清掃費を請求される」という声だが、レオパレスの具体的な清掃費請求の基準について聞いた。
「1Kの場合ですと、基本清掃費用は3万8500円(税込、以下同)からとなっています。加えて家具・家電付きの物件となると、3300円追加で請求させていただきます。基本的には相場の料金とさほど変わらないという認識ですが、たとえば煙草を吸っていて壁紙が黄ばんでいるなどする場合には、別途で清掃費をいただくこともあります」(同)