角田が先制ゴールと2点目の起点に
2点差以上での勝利が必要だった横浜FMに、貴重な先制ゴールが生まれたのは前半アディショナルタイム。このゴールの起点となったのも角田だった。
この場面では味方MFナム・テヒのバックパスを受けた角田が、すかさずセンターサークルへ浮き球を繰り出す。このボールが味方FWヤン・マテウスに繋がり、直後の同選手のスルーパスにエウベルが反応して山東泰山の最終ラインの背後へ抜け出すと、GKワン・ダーレイとの1対1を制している。角田の配球力が活きた得点シーンだった。
後半12分にも角田が敵陣までボールを運び、山東泰山のMFリャオ・リーションの背後に立っていた味方MF喜田拓也に正確な縦パスを送る。喜田のパスを受けたマテウスが敵陣ペナルティエリア右隅へ侵入し、ゴール前へクロスを送ると、これにA・ロペスが合わせて追加点を挙げた。
「どこかが空いてくるのは分かっていた」
横浜FMの2点目は相手MFリャオの死角に立った喜田も然ることながら、リャオに向かってドリブルを仕掛け、同選手に喜田をマークし続けるべきかどうかの迷いを生じさせた角田によってもたらされたものとも言える。角田は試合後の囲み取材で謙遜していたが、横浜FMをACLノックアウトステージへ導くビッグプレーだった。
「ボールを動かしながら(動かしていれば)、どこかが空いてくるというのは分かっていました。そこをちゃんと見れていたのは良かったです。前の選手(前線)のセッションクオリティーが高いなかで、(自分が)起点さえ作れれば(ゴールが生まれる)と信頼しています。そこ(空いたところ)に喜田選手が動いてくれましたし、自分は見えたところにパスを出しただけでした」
グループステージ突破へ必要な2点のリードを確保した横浜FMは、後半19分に自陣から速攻を仕掛ける。エウベルのスルーパスに反応したマテウスが、相手GKの頭上を越えるループシュートを放ち、横浜FMに貴重な3点目をもたらしている。その後は山東泰山の攻撃を防ぎ、最終スコア3-0でグループG首位通過を確定させた。
マスカット監督が角田に出した指示
正確なパスのみならず、果敢なボール運びで横浜FMの攻撃の起点となった角田。特に山東泰山の中盤の選手に向かうようなボール運びが効果的で、これにより相手MFを釣り出し、相手の5バックと4人の中盤の間を広げようとする意図が窺えた。
2023年限りでの退任が決まっている横浜FMのケヴィン・マスカット監督も、試合後の会見(質疑応答)で角田とDFエドゥアルドによるボール運びについて言及している。やはり、彼らにドリブルでボールを運ぶよう指示していたようだ。
ー[5-4-1]の布陣で山東泰山に構えられたなかで、横浜FMの2センターバック(角田とエドゥアルド)のボール運びによって、相手の守備組織が崩れていたように見えました。これについて、監督の率直なご感想をお願いします。
「今日はほとんどの場面において、敵陣でボールを保持していました。そのなかで、(角田とエドゥアルドの)2センターバックにはただボールを前方向に蹴るのではなく、相手のプレッシャーが無いのであれば、ボールを持っていこう(ドリブルでボールを運ぼう)という話をしていました」
「相手があれだけ引いていた(自陣に下がっていた)ので、(横浜FMの2センターバックと相手の1トップによる)2対1の状況も生まれていました。そこで数的優位を作れているなら、そこを使いながら(パスワークで)崩せるのではないか。この部分を角田とエドゥアルドには言いました」
「特に前半、角田とエドゥアルド(の立ち位置)が横に開きすぎていました。そうなってしまうと、自分たちの中盤の選手が相手の中盤の選手に付かれてしまうので、2人にはもう少し閉じるよう(タッチライン方向へ開かないよう)指示を出しました。(修正後は)前方向にボールを持っていけるようになりましたね」