1-0、2-1、3-2では不十分だった横浜FM

当該チーム同士の直接対決の勝ち点と得失点差が並んだ場合、この3チーム間の対戦で挙げたゴール数(総得点)の多いチームが、ACLグループステージでは成績上位と見なされる。

第5節終了時点で仁川の総得点は7、山東泰山は5、横浜FMは4。山東泰山に1点差で勝った場合、横浜FMは得失点差で仁川と並ぶが、1-0や2-1の2ゴール以下では総得点で仁川を下回ってしまう。これに加え仁川がカヤに勝利し、グループステージ全体の勝ち点を12にまで伸ばせば、横浜FMの敗退が決まる状況だった。

横浜FMvs山東泰山が3-2で前者の勝利、加えて仁川がカヤに勝利で終わると、横浜FMと仁川の勝ち点(6)や得失点差(−1)、及び総得点(7ゴール)が同じになる。この場合は大会規定上、横浜FMに連勝している仁川に軍配が上がる。ゆえに横浜FMが最終節での1点差勝利でノックアウトステージ進出を決めるには、4-3や5-4など4ゴール以上が必要だった。


横浜F・マリノスvs山東泰山、先発メンバー

山東泰山は[5-4-1]の布陣で対抗

最終節引き分けでもグループステージ首位フィニッシュが確定、敗れても3点差以内であればグループG3位転落を回避できる山東泰山は、キックオフ直後から[5-4-1]の守備隊形をセット。特に5バックと4人の中盤の間を狭め、横浜FMのパスワークを封じにかかった。

基本布陣[4-2-1-3]の横浜FMのセンターFWアンデルソン・ロペスが中盤へ降りてパスワークに参加した際は、山東泰山のシー・クー、ジャジソン、ジョン・ジョンの3DF(3センターバック)が最終ラインから飛び出して対応。攻撃の起点を潰しにかかった。

横浜F・マリノス DF角田涼太朗 写真:Getty Images

横浜FMの攻撃を司った角田

この日横浜FMの攻撃を司ったのは、センターバックとして先発したDF角田涼太朗。前半13分に敵陣までボールを運ぶと、センターサークル付近から最前線へロングパスを供給。これがFWエウベルに繋がった。

エウベルがオフサイドの反則をとられ、チャンスが潰えてしまったが、角田のロングパスによって山東泰山は最終ラインの背後を突かれている。中盤へ降りようとしたA・ロペスに釣られ、5バック(最終ライン)から飛び出したジョン・ジョンの背後を突くという、角田のアイディアは秀逸だった。