法科大学院の人気が低下している。74校あった法科大学院もいずれは半数近いく校となるとの指摘もある。一番の原因は弁護士志望者の「就職難」があるからだ。その為に弁護士志望者の減少が「法科大学院離れ」の原因にもなっている。晴れて合格し弁護士登録しても、廃業し転職する人もいるという。
こうした中で、文部省は、法科大学院に対する公的支援の見直しの必要性を受け2015年度から「法科大学院公的支援見直し強化・加算プログラム」という形で実施している。
抜本的な組織見直し及び教育の質の向上を図る事で、各法科大学院の修了者が司法試験に合格できるよう目指すものだ。
目指す定員規模として2500人程度とする
内閣の法曹養成制度改革推進会議は、司法試験合格者は当面1500人程度が望ましいとしているが、関係者が最善を尽くす事により質の高い法曹の活躍を目指すべきとして、法科大学院の定員規模は当面2500人程度とした。
見直しのポイントとしては、司法試験におおむね7割以上合格できるよう充実した教育を目指してもらい、現行基準に加えて60%、70%を超えた法科大学院には加点を行うという。司法試験合格率についても、「直近の合格率」だけとせず過去3年の単年度合格率を考慮し評価するという。
合格率が年々下がり今年は22.9%
2015年度の入学者選抜競争率は、法科大学院全体では1.87倍にとどまっている。2倍を下回る場合は競争倍率を指標追加し、3段階の評価もプラスしている。
仮に入学者10人未満が3年続く場合は加点の対象とせず、入学者の質の保証を促すという趣旨を損なわない範囲で行うという。
昔は学歴や年齢に関係なく受験できた司法試験も現在の制度では、原則として法科大学院を卒業し受験資格を得ないと受けられない事になっている。11年目を迎える新制度での今年の司法試験合格者は1583人と発表された(去年は1850人)。その差は267人と大幅減だ。
合格率7~8割程度を目指した新制度の第一回目の試験合格者は48.25%という高率な合格者だった。しかし年々合格率は下がり続けとうとう今年は22.95%(前年比0.13ポイント減)にまで落ち込んでいる。
注目される予備試験
年間20%程度の合格率の為に多額の費用と貴重な時間を費やし、ようやく弁護士になってもメシが食えないようでは、法科大学院の人気低下はますます拍車がかかる。このまま法科大学院離れが進むと法曹界に優秀な人材が集まりにくくなると言った問題もある。
そんな中で最近の傾向として注目されているのが、予備試験からの合格狙いだ。これは法科大学院修了と同等の知識があるかどうかをはかる国家試験で、合格すれば司法試験の受験資格が得られる。これなら大学在学中に予備試験合格を果たし司法試験受験が得られる制度だが、合格率が法科大学院卒よりも良く今年の司法試験合格者1583人のうち235人(前年比49人増)は予備試験組からの合格者となっている。
今後は法科大学院も予備試験組との競争が激化するだろうから合格上位校のみが淘汰され残るのではと予想されるのが寂しい現状のようだ。
文・ZUU online編集部
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