夢いっぱいの「空飛ぶクルマ」乗用ドローンたち。実用化はまだ先か

注目が集まりやすく、DJIが参入していない分野というと、日本でも注目が集まる「空飛ぶクルマ」こと乗用ドローンだ。

「空飛ぶクルマ」という単語については、「どこがクルマなんだ、ヘリコプターか何かだろう」という指摘も多いが、中国EV大手で「中国のテスラ」とも呼ばれるXpeng社はそのものズバリの「空飛ぶクルマ」モックアップを展示。

近未来的なEVスポーツカーのルーフが変形し、四方にローターが飛び出て、走行形態から飛行形態に変形する構造の、まさに空飛ぶクルマだ。

展示されていたのは動作しないモックアップで、同時に展示されていた映像さえすべてCGアニメーションの、実用化ははるか先と思われるコンセプト段階だが、中国のスタートアップらしい夢のある話とも、大言壮語ともいえる。

中国では、こういう大きな夢を語って投資家のお金を集める行為を「吸牛」という。本来は悪い意味の言葉だが、「もっと吸牛できるやつをチームに入れよう」など、いい意味で使われることもある。こういう大きな吸牛も、彼らが「中国のテスラ」と呼ばれる一因だろう。

広州のEHang社は乗用ドローンの最大手だ。ハイテクフェアでも乗用ドローンを展示している。米NASDAQに上場しているEHangの乗用ドローンは、中国で無人航空機の許可証を取得したことで話題になった。

もっとも、そのEHangですら乗用ドローン分野はまだ実際のサービスには結びついておらず、上場後も赤字を続けている。

さらに「キャンセルされた受注もIR資料に掲載して過大に報告している」という報道が出るなど課題は山積みだが、Xpengの空飛ぶクルマに比べると、現時点で出荷できているだけ、現実味のある展示となっている。


「夢いっぱい」という点でこのうえないのは、深センSMD社のUFO型ドローンだ。同社は固定翼でガソリン・電気混合の大型ドローンを手掛ける会社で、10年以上の歴史がある。

一方このUFO型ドローンは、コックピットに何もない中操縦レバーが一つだけ飛び出しているなど、まだ“飛ぶ”とは思いづらいものだ。

同社サイトでは飛行距離6km、飛行時間15分などの具体的なスペックが語られている。

UFO型にした理由は「通常のドローンに近い円形にカバーを被せたもので空力的にもよく、なによりSFっぽくて目立つので、都市の空中観光などで人々の目を集めることができる」などの説明が語られ、実用新案を取得したことも触れられているが、具体的に開発のどのような段階なのかは記載がない。