海外で稼いでから日本に戻ってくるルートもありか

 日本人の寿司職人が欧米で成功しやすい理由として、欧米は独自に発展したロール寿司がメインになっているため、握りのスキルがそこまで要求されないという点もあるといわれている。

「プロの間では握り寿司より巻き寿司のほうが技術的なハードルが高いとされているので、その指摘は半分、的外れですね。ただ、欧米は日本よりスキルを求められないという部分に関しては、納得もできます。多くの欧米人にとっての寿司は、現地で入手可能な食材を使ってある程度形になっていればそれで十分。むしろ、日本の高級寿司店の職人が持つ繊細かつ芸術的なスキルは、欧米ではオーバースペック気味だと感じるほどです」(同)

 では今後、日本の寿司職人の欧米への人材流出が懸念されているのだろうか。

「難しい問題です。個人的には稼げない日本でくすぶっているよりかは、一念発起して欧米で夢を掴むほうが健全だと考えていますが、日本の料理人たちは働きながら修行するという感覚が強く、いきなり海外で就職しても腕が磨けないと考える傾向が多い印象です。確かに言いたいことは理解できますが、ただでさえ職人を目指す人口が激減し、文化の存続が危機に陥っているのが現状です。ですから寿司業界全体で、そこまで伝統やプライドにこだわらず、一度海外に出て大金をつかんで経営戦略を学び、その後、学び直し的に日本に戻ってくる寿司職人のルートが、もっと確立されていったほうがいいのではないかと思います」(同)

(文=A4studio、協力=渡辺勝/東京すし和食調理専門学校・学校長)

提供元・Business Journal

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