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2台のM151を1台のハンヴィーで補える積載力
タフに見えても実戦ではまだまだ物足りない
2台のM151を1台のハンヴィーで補える積載力

ハンヴィーの正式名称は「高機動多用途装輪車両:High Mobility Multipurpose Wheeled Vehicle」→略してHMMWV→読みやすくHumvee→日本読みでハンヴィー。
なお、日本の陸上自衛隊が使う「高機動車」も、ハンヴィーそっくり(というより、ハンヴィーを売り込まれた時に、トヨタへ「同じのを作って」と依頼した説も…)なことから、「ジャンヴィー」と呼ばれる事もあります。
ハンヴィーは「ケネディジープ」M151よりふた回りほど大きく、輸送ヘリのキャビン(吊り下げは可能)や中型以下の輸送機では運べないことから、完全な代替には至りませんでしたが、大きいゆえに武装や装甲、内部装備の追加や改造の余地が大きいのが特徴。
目立つところでは武装で、M151では大型・長射程の無反動砲(バズーカ砲の仲間みたいなもんです)や対戦車ミサイルを運用するのに、弾薬や誘導装置、人員で2台必要です。
これがハンヴィーなら1台で済みますし、小型の車載用地対空ミサイルランチャーシステム、大口径または遠隔操作式の機関銃など多彩な武装を搭載可能で、元から大柄で重たいゆえに重たい装甲を追加しても、大排気量エンジンで走れるパワーもあります。
また、米軍は自衛隊と違っていつ実戦に放り込まれるか知れたものではなく、マニュアル通りの装備より自分たちで扱いやすいようにしておくのが生き残るのに大事と知っていますから、割と勝手に現地改造を行うため、「必ずこうだ」という形はありません。
そのため、軍用ではもちろん、民間に払い下げられた時も、ミリタリー系のカスタムを行うなら「これは○○仕様だ」とでも言っておけば、割と自由な解釈が可能なのも、特徴のひとつと言えるでしょう。
タフに見えても実戦ではまだまだ物足りない

1983年に採用、1985年より本格的な生産が始まったハンヴィーは1991年の湾岸戦争から大量に使われ、世界各地でアメリカやその同盟国が係わる紛争や災害のニュース映像では、昔ながらのジープ以上にお馴染みとなりました。
ただ、見た目ほど頑丈でタフというわけではない…というより、戦争の形が昔とだいぶ異なり、戦場でなくとも治安維持任務中に路上に仕掛けられた強力な爆弾が至近距離で炸裂したり、多少の装甲なら貫徹してしまう銃を使われると、アッサリ破壊されてしまいます。
そうなると狙われる方も無事に帰りたいので追加装甲で対抗しますが、ちょっとばかり装甲を増やしてもクルマそのもののメカニズムや構造まで無事とは限らず、動けなくなればその後は悲惨ですし…となれば、軍隊の士気はガタ落ちです。
それでは困るというので、ハンヴィーの後継車計画として多少の地雷や路上の仕掛け爆弾程度では撃破されない程度にゴツくてタフな軽装甲軍用車両「L-ATV」が2015年に採用されており、装甲強化型ハンヴィーが必要とされる地域から順に更新する予定となっています。