アイデアを形にできるのが工学ならではの魅力

 女子枠設置後は、学校推薦型選抜の入試倍率が電気電子情報工学科で3.5倍、エネルギー理工学科で2.5倍と大きく上がった。現在、名古屋大工学部の定員は680人で女子比率は13%ほどであるため、おおよそ90人程度が毎年入学していることになるが、今後の動向によってはさらに入学者が増えることも考えられる。

 そのため名古屋大では、女子生徒が通いやすい環境づくりを心がけているという。たとえば、学内には女子学生や女性教員が占有できる「リフレッシュルーム」を設置。そして、OGを招聘し、社会全体における女性人材のニーズやどういったキャリアパスがあるのかについて語るイベントも開催している。またオープンキャンパスでは、現役の女子学生が高校生の質問に答えるセミナーを行っているそうだ。

 名古屋大工学部は、当面の間、女子比率を20%にする目標を掲げているが、達成のためにはより多くの生徒に工学部のことを知ってもらう取り組みが必要だと宮﨑氏は語る。

「工学部自体、何を学ぶ学部なのか、ピンと来てない生徒さんが多いように思えます。化学や物理学などは高校までの理科の延長というイメージがあるようですが、工学となると高校までの知識がどの様に通用するのか。また、何をどう学べばよいのかが途端にわからなくなってしまう。入学者のなかには、共通テストの点数を判断してから工学部の受験を決める生徒さんもいますし、『とりあえず理系に入っておけば就職先は困らない』と考えて入学してくる生徒さんもいるので、工学部の勉強に適合できない人も残念ながら出てきます。

 ですから工学部の人間としては、自分が作りたいモノを作ることができるという点をアピールしていきたい。自分のアイデアを駆使し、世の中に還元できる、苦労して設計、開発した製品を人々に使ってもらえる、という喜びは工学ならではの魅力です。なおかつ、現在は女性ならではの発想を現場で最大限に活かせる環境になりつつあるので、バイタリティのある方は活躍できるはず。そして名古屋大では、女性限定のサポートが充実していますので、工学に興味のある生徒さんには進路の一選択肢として考えてもらえれば幸いです」(同)

(取材・文=A4studio、協力=宮﨑誠一/名古屋大学大学院工学研究科長・工学部長、教授)

提供元・Business Journal

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