若い世代ほど「同性婚を法律で認めるべき」と回答ーー変わりゆく人々の意識と政治の役割

とはいえ、人々の意識は大きく変わってきている。朝日新聞社が2021年に行った世論調査では、同性婚を法律で「認めるべきだ」とした人たちは65%に上った。若い世代ほど「認めるべきだ」と回答する人は多く、18~29歳は86%、30代は80%に及んだ。60代でも66%は「認める」側に立った。こうした数字を押し下げたのが70歳以上で、この層の「認めるべきだ」は37%にとどまる。言うまでもなく、同性婚が高齢者層に何らかの実害を与えることは考えられない。この層は、法的保護も社会的承認もえられない同性カップルの困難さについての情報が十分伝わっていないことも考えられる。

webサイト「みんなのパートナーシップ制度」によると、自治体が同性カップルに対して婚姻に相当する関係と認めて証明書を発行する同性パートナーシップ制度は、全国1757の自治体のうち、すでに259が導入。人口普及率は65.2%に達している。

こうした数字を見れば、もはや多くの国民がすでに同性婚を受け入れている、と言えるのではないか。近い将来、「嫌悪の情」や「怯え」はさらに退潮していくだろう。にもかかわらず、高齢者層と一部の人たちの感情によって、制度の改善にブレーキがかけられている。それが今の状況だろう。

南野教授はこう問いかける。

「欧米でも、今なお同性婚を『気持ち悪い』と言う人はいる。それでも、法制化されることで、社会的な承認が広まり、“日陰の存在”ではなくなってきた。21世紀になって、世界の状況は大きく変わっている。南米やアフリカでも同性婚はどんどん認められるようになっている。日本がいつまでも20世紀のまま留まっていていいのでしょうか」

もはや理解増進法の文言を巡って足踏みしている場合ではないだろう。政治は、最高裁判決を待たずに、同性カップルを家族として認めるための法制度の構築について、そのあり方を議論し始める時ではないか。(文=江川紹子/ジャーナリスト)

提供元・Business Journal

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