なんでキャブレターのセッティングが必要なの?

新車状態のノーマル車両ならセッティングは必要ありません。

でも長い距離を走ったバイクはジェットやニードルが摩耗してスキ間が広がって燃料の量が増え、混合気が「濃い」状態になっていきます。

もしくは抵抗の少ないエアクリーナーや抜けのいいスポーツマフラーに交換したバイクは燃料が追い付かず「薄い」状態になります。

さらに付け加えると、シビアなカスタムをほどこしたバイクは、気温や気圧によってベストセッティングが変わってしまいます。

テスト車両の仕様は?

ここからは、今回使用したテスト車両について解説します。
まずはキースター燃調キットを使う前の仕様から。

テスト車両のXR250は、ハイカム、ハイコンプピストンを組んで、エアクリーナーのダクトをレーサーXR250Rのものに変更しています。

当然このままだと全開域で薄すぎるのでメインジェットを濃い番手に変更しています。
純正のメインジェットが入手できたのでここまではOK。

問題はジェットニードル(針)とニードルジェット(筒)です。

まずジェットニードルですが、セッティングを変えようにも、XR250はこんな形状(写真右上)のため調整不可
しかもニードルジェットは廃盤というお手上げ状態。

ならせめてジェットニードルだけでもと、町の鉄工所に駆け込んでニードルを加工してもらいました(写真右下)。
しかし今度は薄くなりすぎてしまい、0.5mmのシムをかませることでなんとか調整。

ベスト(?)なセッティングは出ましたが、お金も手間もかかってしまいました。
ちなみに加工にかかった費用は5,000円。
キースター燃調キット(4,400円)を買った方が安上がりでした…。

調整ができるニードルは、アタマの部分の高さを変えられるようになっている
純正(左)とアタマを加工してもらったニードルにシムをかませた状態

キースター燃調キットを使ってセッティングしてみた

苦労に苦労を重ねて妥協のセッティングは出したものの、ボクの力じゃここまでが限界。
当時(2021年)はキースターのラインナップにXR250用はなかったんです。

それから2年後、「今さらこんな古いバイクのパーツなんて出るわけないよな…」。
そう思ってなんとなく岸田精密工業のHPを見ていたら、なんとXR250用の型番が追加されていました!

さっそく導入してセッティング開始です。

メインジェット&パイロットジェット

メインジェット
パイロットジェット

メインジェットは6種類入っていて、番手は薄い順に♯128、♯131、♯135、♯139、♯144、♯149。
ノーマルは♯135です。

パイロットジェットは3種類。
番手は♯44、♯45、♯48でノーマルは♯45です。

ジェットニードル&ニードルジェット

ジェットニードルは4種類
ニードルジェットは1種類(左は純正)

テスト車両の症状は「アクセル中開度で加速がモタつく」というもの。

同梱されていたセッティングチャートに、その症状と対策がバッチリ記されていました

そして何年も手に入らず泣き寝入りしていた新品のニードルジェット! 本当に夢に出てくるくらい欲しかった製品です。
さっそく古い純正品の内径を測ってみると、やっぱり新品よりも穴が広がっていました。

キースターの新品ニードルジェット
純正の古いニードルジェット

その他のパーツ

ニードルホルダーやパイロットスクリュー、ニードルバルブ、スタータープランジャーなどもすべて新品に交換。

ちなみにニードルホルダーも内径が広がっていました
濃い症状はこれが原因だったのかも?

ちなみにパイロットスクリューは、純正だとアタマがD型になっていて専用ドライバーじゃないと調整できないのですが、キースターはマイナス溝なのでマイナスドライバーでOKです。

パイロットスクリュー。マイナス溝のキースター(左)とD型の純正。D型は00年以降のホンダ車によく採用されていますね
新品のホルダー
9万km使用したホルダー