大岩監督「スコアは別」
試合後の記者会見に臨んだ大岩監督のコメントからは、強豪アルゼンチンを下したことによる慢心は窺えず。試合の総括や質疑応答において、自軍の課題と向き合う姿勢を強調していた。
「スコアは別として(自分たちが)できていることと流れをつかめなかったところ、色々なことがあった90分間でした。そのなかで我々のスタイルを出して戦えたのは収穫のひとつだと思います」
ー試合後のフラッシュインタビューで「まだまだやるべきことがある」と仰っていましたが、具体的にはどういった点でしょうか。
「我々の課題である、ビルドアップ(自陣後方からのパス回し)のところですね。自分たちが優位にボールを保持しているにも関わらず、判断ミスやプレーのチョイスミスでボールを失うことがありました。個人的な問題とチームの構造的な課題を、もう少し整理してあげないといけないかなと感じました」
ー守備への切り替えの速さや、敵陣でのボール奪取が得点に繋がったと思います。この点(守備面)について評価できる部分を教えてください。
「前線からの守備は我々の生命線です。(プレスの)積極性と、状況をしっかり判断しながらポジションをとる。この2つを選手たちに要求しています。今日は相手の技術的なところで(技術でアルゼンチンと渡り合う)自信がなくて守備に行けなかったのか、(周りの状況が)見えていなくて行けなかったのか。我々の守備の流動性や連動性に私は自信を持っていますので、もっとやれるんじゃないかと思っています。ただ、前線からの守備だけでは試合が成り立たないので、もっとうまく選手たちに伝えていきたいですね」
相手サイドバックへの守備が曖昧に
大岩監督が述べた通り、この日のU-22日本代表は攻守両面において詰めが甘い時間帯があった。
日本代表は守備時に[4-4-2]に近い隊形を敷き、最前線の鈴木とFW小田裕太郎(ハーツ/スコットランド)を起点にハイプレスを仕掛けていたが、アルゼンチン代表のMFサンティアゴ・シモンを捕捉しきれていない場面がちらほら。アルゼンチン代表は自陣後方からのパス回しの際、右サイドバックとして起用されたシモンがタッチライン際から内側へポジションを移し、パスコースを確保しようとしていた。
シモンに対する日本代表の守備が特にうまくいかなかったのが、前半19分。ここでも右サイドバックのシモンがタッチライン際から内側へ移動し、最前線の鈴木と左サイドハーフの佐藤恵允の間から顔を出していたが、ここに誰がプレスをかけるのかが曖昧に。その後、アルゼンチン代表DFマルコ・ディチェーザレ(センターバック)から自陣に降りてきた右ウイングFWのソラリ、シモンの順でパスが繋がってしまった。
この直後のアルゼンチン代表のロングパスを、GK藤田和輝(栃木SC)が処理したため事なきを得たものの、相手のラストパスの精度が高ければピンチに陥っていただろう。相手最終ラインの隊形変化やポジションチェンジへの素早い対応は、U-22日本代表が突き詰めるべき課題のひとつだ。