慶應、早稲田、青山学院の対策は

 慶應義塾幼稚舎のホームページを見ると、「幼稚舎の入学試験は、様々な活動を通じて志願者のありのままの姿を見るものですから、入学試験のために特別な準備は必要ありません」と書いている。しかし、「当然ながら個別の対策が必要」と、いとう氏が解説する。

「慶應幼稚舎はペーパー試験がありません。運動と行動観察、絵画のテストで子どもを評価します。体操教室と絵画教室に通うのは大前提で、絵画は大人が通うレベルの教室がいいいですね。青山学院初等部も幼稚舎と同様の対策が必要になります。慶應幼稚舎は『コネが必要』といわれていましたが、それは平成までの話です。今は表に出ると問題になりますので、ないに等しいと考えていいのではないでしょうか」

 一方、慶應義塾横浜初等部や早稲田実業初等部に合格するための対策は、慶應幼稚舎とはまったく異なる。

「横浜初等部の1次試験はペーパー試験で、この時点で得点が上位4分の1の子に絞られます。算数的な計算式を操る力と、国語の読解力が必要です。早稲田実業も1次でペーパー試験があり、合格しなければ2次の面接に進めません。暁星、白百合、雙葉、成蹊などもペーパー試験に重きを置いている学校です。これらの学校を受験する場合、大手の教室に加えて、ペーパー試験専門の塾にも通う必要があります」

 ただ、慶應や早稲田の小学校は、合格できたとしても、入学後の勉強は楽ではないようだ。

「合格すれば大学まで安泰だと思われるかもしれませんが、必ずしもそうではありません。慶應幼稚舎の場合、平均程度の勉強ができる男子は中学で男子校の普通部に志望すれば進学できますが、そうではない男子は男女共学の中等部や湘南藤沢中等部を勧められます。女子の場合は中等部一択ですが、海外思考の高い家庭は湘南藤沢に進学する生徒もいます。その上、私立学校ですので、中学1年生から留年させられる生徒もいます。横浜初等部は慶應義塾内唯一、男女共学で小学校から高校までの12年間、小学校から中学校、高校までの進路パターンが限定されている附属校です。試験日程が11月の中旬の為、他校との併願も可能で人気が高く、湘南藤沢中等部・高等部の偏差値も上昇していますので、初等部からの内部生が湘南藤沢中高の基準を落とさないよう、特に厳しく勉強させます。勉強をしない子は中学や高校で留年を強いられさせられ、最悪の場合は退学せざるを得なくなると覚悟したほうがいいでしょう。実際に、毎年1学年に5人程度、多いときは10人ほど留年していると聞いています。勉強が厳しいのは早稲田実業も同じです。早稲田大学の附属校ではなく系属校ですので、早稲田大学に入学できるレベルにするために、小学校の段階からものすごく勉強をさせていることは知っておいたほうがいいと思います」

 いとう氏は、慶應や早稲田の小学校は、大学と同じイメージを抱かないほうがいいと忠告する。

「慶應義塾横浜初等部は幼稚舎に比べて学内での勉強が厳しい上、生徒や保護者間のトラブルも多いと聞いています。開校10年の新設校なので慶應内でも亜流と呼ばれ、まだ疎外感もあるそうですので、早慶附属を志望するご家庭にはあまりお勧めしていません。大学の附属校や系属校といっても、大学とは教育方針が異なります。志望校を決める場合は、小学校から大学までの附属・系属の各学校の教育内容をよく確認して、ご家庭の方針と合致しているのかを見極める必要があります。大学のブランド名だけで決めないほうがいいでしょう」