なぜ不祥事が起こるのか
日本の金融庁はIAISから評価されている。生保各社も社内で問題が起きれば第三者委員会を立ち上げ、調査結果に基づき処罰を行っている。にもかかわらず、なぜ保険業界では不祥事が絶えないのか。筆者の取材に基づけば、それは保険会社の全国各地の拠点と拠点長に問題があると考えられる。成績至上主義だった保険業界では、拠点長が「契約がもらえるまで帰ってくるな」と営業職員を追い詰め、成績不振の営業職員が頭ごなしに怒鳴り散らされるというケースは珍しくなかった。保険業界を取り巻く環境は大きく変化している。拠点長も営業職員も大多数は真面目にコツコツと活動を行っているのは事実だ。しかし、そうしたやり方を変えられない拠点長がいることも事実だ。拠点長を監督する人が常勤していないことも理由でもある。
営業職員は所属する拠点や支社が自分の知る世界のすべてとなる。パワハラを受けたり、ノルマを強要されたら、支社もしくは本社に通報すべきだ。場合によっては警察に被害届けを出してもよい。他の職員たちも見て見ぬ振りや無関心を装わないでほしい。拠点長などの個人の問題であっても、職員に対する責任は最終的には会社にある。今こそ、保険業界の膿をすべて出し切り、大ナタを振う局面だと思う。
保険業界は誰も予測ができない時代に突入したことは間違いない。数年前から保険業界に参入するといわれていたアマゾンが、あいおいニッセイ同和損害保険の子会社とコラボし11月にペット保険に参入した。さまざまな業界地図を塗り替えてきたアマゾンは、ペット保険にとどまらずに今後どのように保険業界に進出するのか、眼が離せない。
営業職員も自分一人の成績だけに固執するのではなく、業界全体の健全化を心から願わない限り「お客さま本位の保険業界」にはならないだろう。保険業界の新たな船出が始まった。
(文=鬼塚眞子/一般社団法人日本保険ジャーナリスト協会代表、一般社団法人介護相続コンシェルジュ協会代表)
提供元・Business Journal
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